2019年6月12日水曜日

脳出血と脳梗塞後のリハビリテーションでの機能回復 Arch Phys Med Rehabil 2003

脳出血と脳梗塞後のリハビリテーションでの機能回復











目的:リハビリテーション療法後の回復を定量化し,脳梗塞と比較して脳内出血後の患者における機能的帰結を予測する因子を判定すること.
デザイン:4年間にわたるリハビリテーション病院への脳内出血および脳梗塞の連続した入院患者の後方視的研究.
条件:独立した都市部のリハビリテーション病院.
参加者:合計1064症例が対象基準を満たした(女性545人,男性519人;脳梗塞871人,脳内出血193人).
介入:参照不能.
主要評価項目:FIMを用いて評価した機能状態で,入院時と退院時に記録した.回復はFIM合計スコアの変化(ΔFIM合計スコア)で定量化した.帰結評価は,退院時合計FIMスコアとΔFIM合計スコアである.単変量解析と多変量解析を行なった.
結果:入院時FIM合計スコアは,脳梗塞患者では,脳内出血患者よりも高かった(59対51,P=0.0001).退院時FIM合計スコアにおいては差はなかった.脳出血の患者は脳梗塞の患者よりも有意に大きな回復を生じた(ΔFIM合計スコア28対23.3,P=0.002).多変量解析では,若年であること,在院日数が長いこと,入院時のFIM認知下位スコアが,退院時FIM合計スコアとΔFIM合計スコアを独立して予測した.入院時FIMスコアで示された入院時の障害の重症度は,退院時FIM合計スコアを独立して予測したが,ΔFIM合計スコアは予測しなかった.最重症の脳卒中の脳内出血患者は,同程度の重症度の脳梗塞患者よりも有意に大きな改善を生じた.
結論:入院時には,脳内出血患者は,脳梗塞患者よりも重度の機能的障害を有していたが,より大きく改善した.最重症の脳内出血患者は,同程度の重症度の脳梗塞患者よりも改善した.初期の重症度,年齢,治療期間が,リハビリテーション後の機能予後をもっともよく予測した.

2019年4月12日金曜日

脳卒中後の半側空間無視に対する非侵襲的脳刺激:ランダム化・非ランダム化比較対象試験の系統的レビューとメタ解析 Neural Plasticity 2018





















脳卒中後の半側空間無視に対する非侵襲的脳刺激:ランダム化・非ランダム化比較対象試験の系統的レビューとメタ解析












背景.半側空間無視は,脳卒中後にもっとも多い知覚障害である.非侵襲的脳刺激は,皮質の興奮性を調整し,知覚能力と機能的能力を改善させるリハビリテーションプロセスにおいて用いられてきたツールである.目的.脳卒中後の半側空間無視に対する非侵襲的脳刺激の効果を評価する.方法.2016年7月までで広範囲の検索を行った.研究が,脳卒中後の半側空間無視で,標準化された半側空間無視のテストと機能的テストで帰結を評価されたものであって,経頭蓋直流電気刺激(tDCS),反復経頭蓋時期刺激(rTMS),シータバースト刺激(TBS)を調べた比較試験・非比較試験であれば選択した.結果.ランダム化比較試験12編(参加者273人),非ランダム化比較試験4編(参加者94人)が的確とわかった.我々は,非侵襲的脳刺激で,シャムと比較して,線分二等分試験で評価された全体的な半側空間無視に効果をみとめた(SMD-2.35,95%信頼区間-3.75− -0.98;p=0.0001);rTMSは,全体的なメタ解析(SMD-2.82,95%信頼区間-3.66− -1.98;p=0.09)と一致した結果が得られた.シャム刺激と比較して,rTMSは,1Hz(SMD1.46,95%信頼区間0.73− 2.20;p<0.0001)および10Hz(SMD1.19,95%信頼区間0.48−1.89;p=0.54)の両方で,Motor- Free Visual Perception Testで評価した全体的な半側空間無視にも効果があった.1Hz rTMSはシャム刺激と比べて,Albert試験および線分抹消試験で測定した全体的半側空間無視にも効果があった(SMD2.04,95%信頼区間1.14−2.95;p<0.0001).結論.結果から,全体的な半側空間無視に対する非侵襲的脳刺激の効果が示唆され,我々はrTMSは脳卒中後の半側空間無視に対して,シャム刺激と比べて,より効果的であると結論づけた.

2019年3月26日火曜日

二重課題運動は,脳卒中後の歩行と転倒における認知−運動干渉を減少させる ランダム化比較対照試験 Stroke2018


二重課題運動は,脳卒中後の歩行と転倒における認知−運動干渉を減少させる
ランダム化比較対照試験



背景と目的−地域での機能的歩行には,移動と認知の課題を同期的に行う能力(二重課題の遂行)が必要である.この単盲検化ランダム化比較対照試験は,脳卒中慢性期患者における二重課題訓練の効果を調べることである.
方法−脳卒中慢性期患者84人(女性24人;年齢t61.2±6.4歳;脳卒中発症からの期間75.3±64.9ヶ月)で,運動障害は軽度から中等後(Chedoke-McMaster下肢運動スコア:中央値5;四分位範囲4-6),をランダムに二重課題でのバランス/歩行訓練群と単独課題でのバランス/歩行訓練群,あるいは上肢訓練群(コントロール)に割り当てた.各群は,1週間に60分のセッションを3回行った.二重課題干渉効果は,3つの歩行テスト(前方への歩行,timed-up-and-go,障害物横断)を完了するために必要な時間と,連続3引き算と言語流暢性課題の間の正答率を測定した.二次評価項目には,Activities-specific Balance Confidence Scale,Frenchay Activities Index,Stroke specific Quality of Life Scaleとした.上記の評価項目をベースライン,訓練直後,8週間の訓練後に測定した.訓練後6ヶ月間の転倒発生率を記録した.
結果−二重課題群だけが,訓練後に歩行中の二重課題干渉の減少を示した(言語流暢性課題と併用した前方歩行[9.5%,P=0.014],連続3引き算[9.6%,P=0.035],言語流暢性課題を伴うtimed- up-and-go[16.8%,P=0.001]).二重課題における改善は8週目の追跡で概ね維持された.二重課題認知の能力は,有意な変化を示さなかった.二重課題プログラムは,6ヶ月間の追跡期間中の転倒と外傷のリスクをコントロールと比べてそれぞれ25.0%(95%信頼区間3.1%-46.9%;P=0.037),22.2%(95%信頼区間4.0%-38.4%;P=0.023)低減した.その他の二次評価項目には有意な影響はなかった.
結論−二重課題プログラムは,歩行可能で認知機能の保たれた脳卒中慢性期患者において,二重課題歩行を改善させる上で効果的であり,転倒と転倒に関連した外傷を減少させた.活動参加やQOLには有意な影響はなかった.


2019年2月8日金曜日

高齢患者における重症脳動脈瘤性くも膜下出血後の生存率と帰結 Stroke2018

高齢患者における重症脳動脈瘤性くも膜下出血後の生存率と帰結
背景と目的−重症脳動脈瘤性くも膜下出血(aSAH)を生じた高齢患者に最大限の治療を提供すべきかどうかは議論の余地がある.aSAH後の6〜12ヶ月後におけるこのサブグループの通常の評価項目はおろか生存率も不明である.この研究の目的は,患者のこのサブグループに対して,治療についての臨床家の意思決定に役立つような生存率と帰結のデータを提供することである.
方法−我々は,2005年から2017年に当院に入院したaSAHを生じた重症(WFNS分類ⅣとⅤ)高齢患者(年齢60歳以上)についてのBernese SAHデータベースの後方視的分析を行った.患者を3つの年齢グループ(60-69歳,70-79歳,80-90歳)に分けた.生存率分析は平均生存率と死亡に対するハザード比を推定するために行った.二元対数回帰を用いて,予後良好(modified Rankin Scaleスコア0-3)と予後不良(modified Rankin Scaleスコア4-6)についてのオッズ比を推定した.
結果−年齢が高齢であることは,aSAH後の死亡のリスク増大と関連した.年齢が1年上がるごとにハザード比は6%増大し(P<0.001;ハザード比1.06;95%信頼区間1.03-1.09),10年ごとに76%増大した(P<0.001;ハザード比1.76;95%信頼区間1.35-2.29).平均生存期間は56.3±8ヶ月(60-69歳の患者),31.6±7.6ヶ月(70-79歳の患者),7.6±5.8ヶ月(80-90歳の患者)だった.aSAH後の6-12ヶ月後の予後不良は高齢と強く相関した.オッズ比は年齢1歳ごとに11%(P<0.001;オッズ比1.11;95%信頼区間1.05-1.18),10歳ごとに192%(P<0.001;オッズ比2.92;95%信頼区間1.63-5.26)増大した.

結論−重症aSAHの高齢患者では,死亡と予後不良のリスクは年齢が高齢であると顕著に増大した.初期の死亡率が高いにも関わらず,治療hは79歳までは予後良好と理にかなった割合となった.aSAH後6-12ヶ月後に中等度から重度の障害の患者は少数だった.平均生存期間と予後良好の割合は.80歳以上の患者では顕著に減少した.

2019年2月5日火曜日

脳血管イベント後の交通事故のリスクの増大 Stroke2018

脳血管イベント後の交通事故のリスクの増大
背景と目的−我々は,脳血管イベント後の自動車衝突事故の長期リスクと,左半球イベントあるいは右半球イベント後にリスクが同等かどうかを判定することを目的とした.
方法−我々は,カナダ,オンタリオ州で2003から2013年に一過性脳虚血発作または脳卒中(脳出血または脳梗塞)と診断された患者を判別するための集団ベースのレジストリを用いた.片側大脳半球の左右は放射線学的所見と臨床所見を用いて決定した.我々は,連結した行政データを用いて患者がドライバーとして巻き込まれた発症後の重篤な外傷を見つけた.二次評価項目は,患者が歩行者として,あるいは同乗者として巻き込まれた重篤な外傷,または他の外傷イベント(転倒,骨折,足関節捻挫)を含めた.我々は,死亡を競合リスクとして検討した比例ハザードモデルを用いて,片側大脳半球と評価項目の関連性を,年齢・性別・退院時mRSスコア,家の場所,病前の運転歴の調整ありと調整なしで検定した.患者は2017年まで追跡した.
結果−片側大脳半球の脳血管イベントの患者26144人のうち,平均6.4人−年の追跡期間で,ドライバーとして続発する重篤な交通外傷377件(2.2/1000人−年)をみとめた.この割合は左右では差がなかった(調整ハザード比1.00; 95%信頼区間0.82-1.23).歩行者としての重篤な交通外傷のリスクは右側のイベントでは左側のイベントよりも有意に高かった(調整ハザード比1.27; 95%信頼区間1.02-1.58).他の交通外傷のイベント後のリスクは脳血管イベントの左右では差がなかった.
結論−歩行者としての重篤な交通外傷のリスクは右大脳半球イベント後には左側のイベントと比べてかなり高かった.歩行は脳卒中や一過性脳虚血発作の生存者における運動として推奨されるべきだが,このような交通弱者は安全性を最適化するための脳卒中後リハビリテーションから恩恵を受けるかもしれない.

2018年11月29日木曜日

高齢者において持続的な発熱を呈した緩徐進行性・無痛性胸部大動脈解離:生化学的パラメータの併用測定の有用性 Case Rep Med 2013

高齢者において持続的な発熱を呈した緩徐進行性・無痛性胸部大動脈解離:生化学的パラメータの併用測定の有用性

大動脈解離は緊急の診断と適切な介入を必要とするような致死的な病態である.急性大動脈解離はしばしば突然発症の強い胸痛として表れるので,医師は容易に適切な診断にたどり着くことができる.しかしながら,大動脈解離の患者の中には,典型的な強い胸痛はなく,様々な臨床的表現形を呈する患者もいる.そのために診断が遅れたり,死亡する可能性もある.我々は,原因不明の発熱の高齢患者で最終的に大動脈解離と診断された症例を提示する.本例では,プロカルシトニン検査陰性,D-Dダイマーおよび血清CPK-BB濃度上昇,CRP濃度の再上昇から我々は正しい診断に導かれた.

2018年11月26日月曜日

急性大動脈解離に伴う発熱 Circ J 2007

急性大動脈解離に伴う発熱
背景 発熱は急性大動脈解離のありふれた症状であるが,この発熱の期間と特性について公表された報告はほとんどない.
方法と結果 発熱の平均期間を,急性大動脈解離の患者の合計57人について計算した.患者は,それから2群に分けた:発熱期間が平均より短い群(グループA)と平均より長い群(グループB)である.偽腔サイズの縮小と血液学的パラメータをグループ間で比較した.発熱の平均期間は15.9± 11日だった.偽腔サイズの縮小比はグループA群(18.3±5.0%)ではグループB(2.0±5.3%)より有意に高かった.偽腔サイズ縮小比と発熱期間の間には有意な負の相関があった.血液学的パラメータは,フィブリン分解産物(FDP)を除いて2群間で有意な違いはなかったが,白血球数,血小板数,CRPはグループBでより高い傾向があった.
結論 発熱を調べることは,急性大動脈解離の個々の症例の状態を評価する上で重要である.