2020年7月13日月曜日

脊髄損傷に対する集学的治療:ニューロモデュレーションに基づく神経再生の剣 Neural Regen Res 2020




脊髄損傷に対する集学的治療:ニューロモデュレーションに基づく神経再生の剣




















抄録

脊髄損傷は,神経経路の遮断と結びついており,それによって,不可逆的な神経機能不全を生じる.神経修復と神経再生は脊髄損傷における重大な目標であり,リハビリテーションのテーマであり,それには,神経幹細胞の修復と,個別化したリハビリテーション戦略を含むような複数モダリティのニューロモジュレーション技術が必要である.神経新生と神経修復における内因性神経幹細胞の関与に加え,外因性の神経幹細胞移植は,中枢神経系の疾患において損傷を受けた組織を修復し置換するための新たに出現した有効な方法である.しかしながら,内因性あるいは外因性の神経幹細胞が本当に脊髄損傷後に神経修復に参加していることを確かめるには,適切な介入法(例えば,ニューロモジュレーション)が適用されるべきである.非侵襲的磁気刺激や電気刺激といったニューロモジュレーション技術は,多くの神経精神疾患に安全に適用されてきた.神経磁気/電気的モジュレーションが,神経系における信号伝達に影響して神経再生と神経修復を促すことを示唆するエビデンスが増えている;いわば,脊髄損傷後の運動機能と運動学習を改善させるようなニューロンと神経のネットワークの活動を興奮させたり,抑制したり,調節したりすることによってである.いくつかの研究で,良好な運動スキルのリハビリテーション訓練は側副路の成長のための残存線維を利用し,神経可塑性を促すような新しいシナプス結合の形成を促進し,脊髄損傷の患者における運動機能の回復を改善させることが示唆されてきた.生体材料の技術と生体力学の工学技術の開発に伴い,ロボットや脳–コンピュータインターフェース,ナノマテリアルといった現在登場している治療がいくつかある.このような治療には,脊髄損傷を原因とする運動機能不全を被っている数多くの患者に役立つ可能性がある.しかしながら,その有効性を検証するためには大規模な臨床試験を行う必要がある.このレビューでは,既存のエビデンスにしたがって脊髄損傷に対するリハビリテーション訓練と知識に基づいた治療を併用した神経幹細胞と磁気または電気刺激の有効性を評価した.それによって,神経修復と神経再生を増強するような脊髄損傷後の複数モダリティの治療戦略を確立する.

2020年6月30日火曜日

脳卒中に対する再生医療 – もう着いた? Cerebrovasc Dis 2011


脳卒中に対する再生医療 – もう着いた?





















抄録

幹細胞生物学の発達で,細胞療法は実験的研究と臨床研究において,非常にやりがいのある領域になってきた.神経学的疾患の中でも,脳卒中は幹細胞の臨床適用のパイオニアになってきた.予備的研究では安全性への関心が優先され,重要な臨床前研究が,幹細胞療法が一般化のレベルに到達させる助けになるように進行中である.脳卒中は,古典的に急性期,亜急性期,慢性期に分けられる.それぞれの時期は,急速な組織変性と永続的なリ
モデリングを引き起こすようなオーバーラップと区別できる動力学を伴う複雑な一連のイベントによって定義される.それぞれの種類の神経幹細胞には,本来の特性があり–細胞自立性・非細胞自立性のシグナル発信を介して転置され–これらのイベントのいくつかにより特異的に対応するだろう.脳卒中において幹細胞療法から予測されるものをもっとよく定義できれば,幹細胞のソースを急性期または慢性期に割り当てる助けとなり,恐らく,臨床における使用を最適化するのに役立つかもしれない.


2020年5月7日木曜日

脊髄損傷後に運動回復と機能的回復を促進する非侵襲的脳刺激 Neural Regen Res 2017


脊髄損傷後に運動回復と機能的回復を促進する非侵襲的脳刺激








抄録

我々は,残存する皮質脊髄回路を適切に刺激することができたら,機能回復や痙縮の改善を伴う変化が生じるかもしれないという仮定の下に,脊髄損傷後の患者における運動回復と機能回復もしくは痙縮を改善させることを目的として研究または治療のツールとして非侵襲的脳刺激(反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)と経頭蓋直流電気刺激(tDCS))を用いた研究の系統的レビューを行った.このレビューでは,脊髄損傷後の上肢と下肢の運動回復および機能回復,痙縮のコントロールにおいて非侵襲的脳刺激によって生じた変化に関する文献をまとめた.

2020年4月27日月曜日

まだ動く:脊髄損傷後の随意的コントロールの回復 Prog Neurobiol 2018





まだ動く:脊髄損傷後の随意的コントロールの回復


















抄録
臨床前/臨床での神経生理学的研究や神経リハビリテーションの研究から,脊髄損傷後の慢性的運動麻痺の患者における随意的な感覚–運動機能の予想以上の驚くべきレベルの回復が生まれてきた.この回復の重要な要因は,脊髄と脊髄より上位のネットワークの大部分が活動依存性の可塑性である.この鍵となる因子は,電気や薬物の介入でのこれらのネットワークのニューロモデュレーションによって誘発される.このレビューは,電気での調節を説明となるかもしれないシステムレベルに関するいくつかの生理学的機序と,反復訓練がどうやって随意的運動コントロールの回復を促通するかを扱う.とくに以下の仮説を立証する:(1)脊髄病変の大部分では,病変部位に大きな意味を持つような量と種類のニューロンが生存しているが,活動電位を発生できない.そのため,電気的に反応しない;(2)病変領域のこのような神経ネットワークは,ニューロモデュレーションを受けて,電気的な能力の変換状態になり得る;(3)このような2つの因子によって,脊髄と脳の神経ネットワークの活動依存性の広範囲の再組織化のための可能性が生じる;(4)脊髄固有のネットワークは,損傷後のこのような活動依存性の再組織化を誘発する上で極めて重要な役割を演じている.脊髄ネットワークへのリアルタイムの固有覚入力は,与えられた機能的課題を遂行するために必要な運動プールの協調性のレベルにおいて,主要な役割を果たす脊髄ネットワークのテンプレートを提供する.複数の体節の感覚運動ネットワークを,反復訓練で生じるように課題特異的な感覚入力の動態に繰り返し暴露することは,脊髄と脊髄より上位の連結を機能的に再形成し,それゆえ,損傷から数年後であっても,複雑な課題を再び遂行できるようにする.

2020年1月18日土曜日

脊髄損傷後の起立性低血圧の治療の系統的レビュー Arch Phys Med Rehabil 2009

脊髄損傷後の起立性低血圧の治療の系統的レビュー


抄録
目的–脊髄損傷者における起立性低血圧の治療についてのエビデンスを系統的にレビューすること
データソース–起立性低血圧に対して現在行われている治療の有効性を評価している文献を見つけるために,原著論文とレビュー記事,さらに診療ガイドラインのキーワード文献検索を,1950年から2008年7月までの間でMediline,CINAHL,EMBASE,PsycInfo,手作業の検索を用いて行った.
研究の選択–脊髄損傷者における起立性低血圧の治療のための薬理学的介入および非薬理的介入を評価した,ランダム化比較対照試験,前方視的コホート研究,症例対照研究,前後比較研究,症例報告を対象とした.
データ抽出–2人の独立したレビューワーが,それぞれの研究の質を評価し,ランダム化比較試験についてはPEDroスコア.その他の研究に対してはDowns and Blackスケールを用いた.研究の結果を一覧にして,エビデンスレベルを割り当てた.
データ統合–対象基準を満たした薬理学的研究8篇と非薬理的研究21篇が見つかった.26研究(薬理学的介入と非薬理学的介入の両方を含む研究もあった)のうち,ランダム化比較試験は1篇だけ見つかり(レベル2のエビデンスとなる質の低いランダム化比較試験),この研究では,ミドドリンが脊髄損傷後の起立性低血圧の治療に有効であるとされた.機能的電気刺激は,その有用性を支持する,ある程度のエビデンス(レベル2)のある非薬理学的介入のみの介入の1つだった.
結論–一般集団における起立性低血圧の治療については,幅広い物理的方法や薬理学的方法が推奨されているけれども,脊髄損傷における使用についてはほとんど評価されていない.とくに,非脊髄損傷の患者集団において有効であることが示されている他の多くの薬理学的介入が評価されていない.

2019年12月31日火曜日

エビデンスの基づいた認知リハビリテーション:2009年から2014年の文献の系統的レビュー APMR2019


エビデンスの基づいた認知リハビリテーション:2009年から2014年の文献の系統的レビュー












抄録
目的:頭部外傷または脳卒中の患者の認知リハビリテーションについての臨床文献の最新版の系統的レビューを行い,研究デザインの強さに基づいて研究を分類し,コンセンサスの得られるようなエビデンスに基づいた臨床的推奨を導き出すこと.
データソース:オンラインのPubMed検索と紙面の雑誌の検索で,2009年から2014年に公表された250件の記事についての引用が見つかった.
研究の選択:最初のスクリーニング後,186件の記事が対象として選択された.50篇が最初に除外された(神経学的な診断のない患者,小児の患者,神経学的診断の他の患者を対象とした文献24篇,認知介入以外10篇,記述的プロトコルまたは研究13篇,治療研究以外1篇).完全なレビューのあとで15篇の記事が除外された(他の神経学的診断1篇,治療研究以外2篇,定性的研究1篇,記述的文献4篇,二次解析7篇).121研究が完全にレビューされた.
データ抽出:文献はthe Cognitive Rehabilitation Task Forceのメンバーによって,研究デザインと質についての特異的な対象基準に応じてレビューされ,クラスⅠ,クラスⅡ,クラスⅢのエビデンスを提供するものとして分類された.文献は,可能性のある6カテゴリー(注意,視覚と無視,言語とコミュニケーションスキル,記憶,遂行機能,包括的–統合的介入についての介入に基づく)の1つに割り当てられた.
データ統合:121研究のうち,クラスⅠと評価された研究が41篇,クラスⅠaが3篇,クラスⅡが14篇,クラスⅢが63篇だった.推奨は,過去のレビューで適用された決定規則に基づいて,エビデンスの相対的な強さからthe Cognitive Rehabilitation Task Forceのコンセンサスによって導かれた.
結論:the Cognitive Rehabilitation Task Forceは,今では,491篇の文献(クラスⅠまたはⅠaが109篇,クラスⅡが68篇,クラスⅢが314篇)を評価し,認知リハビリテーションのエビデンスに基づいた診療のための29の推奨を決定した(標準的治療9,診療ガイドライン9,診療の意見11).エビデンスは以下の標準的治療を支持している;(1)頭部外傷または脳卒中後の注意障害,(2)右大脳半球の脳卒中後の無視に対する視覚探索,(3)軽度の記名力障害に対する代償戦略,(4)左大脳半球の脳卒中後の言語障害,(5)頭部外傷後の社会的コミュニケーション障害,(6)遂行機能における障害に対するメタ認知戦略訓練,(7)頭部外傷または脳卒中後の認知障害と機能的障害を軽減するための包括的–全体的神経心理学的リハビリテーション.

2019年8月15日木曜日

脳卒中後の四肢痙縮に対するA型ボツリヌス毒素の有効性と安全性:ランダム化比較対照試験のメタ解析 Biomed Res Int 2019

脳卒中後の四肢痙縮に対するA型ボツリヌス毒素の有効性と安全性:ランダム化比較対照試験のメタ解析
背景.脳卒中後の四肢痙縮のある患者におけるA型ボツリヌス毒素の筋内投与の有効性については,報告されたデータが一致していない.参照可能なランダム化比較対照試験でのこのメタ解析は,脳卒中後の上肢と下肢の痙縮のある成人患者におけるA型ボツリヌス毒素の有効性と安全性を決定することを目的としている.方法.候補となるランダム化比較対照試験を選択するために,PubMed,Embase,Cochrane libararyで,2018年12月に電子検索を行なった.標準化平均差と相対危険度に対応する95%信頼区間とともにまとめて,それぞれ有効性と安全性の帰結を評価するために採用した.結果.合計2,793人の患者を対象とする17編のランダム化比較対照試験が対象基準を満たし,それぞれ16編が上肢痙縮の症例で,9編が下肢痙縮の症例を対象としていた.上肢痙縮については,A型ボツリヌス毒素療法は,筋緊張のレベル(標準化平均差=-0.76; 95%信頼区間-0.97〜-0.55; P<0.001),医師の全体的評価(標準化平均差= 0.51; 95%信頼区間0.35〜0.67; P<0.001),障害評価スケール(標準化平均差=-0.30; 95%信頼区間-0.40〜-0.20; P<0.001)有意に改善し,能動的上肢機能(標準化平均差=0.49; 95%信頼区間-0.08〜1.07; P=0.093)と有害事象(相対危険度=1.18; 95%信頼区間0.72〜1.93; P=0.509)には有意差はなかった.下肢痙縮については,A型ボツリヌス毒素療法は,Fugl-Meyerスコアがより高値(標準化平均差=5.09; 95%信頼区間2.16〜8.01; P=0.001)だったが,筋緊張(標準化平均差=-0.12; 95%信頼区間-0.83〜0.59; P=0.736),歩行速度(標準化平均差=0.06; 95%信頼区間-0.02〜0.15; P=0.116),有害事象(相対危険度=1.01; 95%信頼区間0.71〜1.45; P=0.949)には有意差はなかった.結論.A型ボツリヌス毒素は,上肢痙縮においては筋緊張,医師の全体的評価,障害評価スケールを改善し,下肢痙縮においてはFugl- Meyerスコアを改善する.