2015年9月29日火曜日

脳卒中に対する超早期リハビリテーション試験(AVERT) 第Ⅱ相 安全性と実効可能性  Stroke 2008



脳卒中に対する超早期リハビリテーション試験(AVERT)
第Ⅱ相 安全性と実効可能性



背景と目的−超早期リハビリテーションは離床を重視しており,脳卒中後の予後改善に寄与するかもしれない.我々は超早期リハプロトコルは安全で実行可能だろうという仮説を立てた.
方法−我々は評価項目の評価を盲検化したランダム化・比較対照試験を行った.メルボルンの2つの脳卒中ユニットで脳卒中発症から24時間以内の患者を対象とした.患者は標準的治療または標準的治療+超早期離床を,退院または14日間(どちらか早い方)まで受けるようにランダムに割り当てられた.安全性の主要評価項目は3ヶ月時点での死亡である.実効可能性の主要評価項目は超早期離床において実施できた離床の“量”が多いことである.安全性の二次評価項目は,有害事象(転棟や早期の神経学的な増悪),身体モニタリングでのコンプライアンス,介入後の患者の疲労である.実効可能性の二次評価項目は標準的治療の“混入”である.
結果−全体として,スクリーニングされた患者の18%が基準に合致していた.71人が対象となり,ランダムに割り当てられ,12ヶ月で2人が脱落した.多くは脳梗塞(87%)だった.年齢の平均±SDは74.7±12.5歳,NIH Stroke Scale>7が58%(41人)だった.群間で死亡数に有意差はなかった(標準治療3/33,超早期離床8/38).死亡はほぼすべてが重症脳卒中の患者であった.安全性の二次評価項目は群間で同等だった.介入プロトコルの提供は成功しており,超早期離床の量的な目標(標準的治療の倍,P=0.003)を達成し,初回の離床までの時間が短かった(P<0.001).
結論−脳卒中急性期の24時間の患者の超早期離床は安全で実行可能だろう.介入の有効性と費用対効果は,現在,大規模ランダム化比較対照試験でテストされている.



2015年8月23日日曜日

脳卒中急性期の嚥下障害に対する行動介入:ランダム化比較対照試験 Lancet Neurol 2006


脳卒中急性期の嚥下障害に対する行動介入:ランダム化比較対照試験
まとめ
背景 脳卒中後の嚥下障害はありふれているが,この障害をどのような管理すべきかについて信頼できるエビデンスがほとんどない.この研究では,低強度と高強度の標準的な行動介入および通常治療を比較した.

方法 脳卒中急性期の入院患者で臨床的に嚥下障害を呈する患者306人をランダムに通常治療(102人)(主治医が処方);低強度標準的行動介入(102人)(嚥下代償戦略と食形態処方で週3回,1ヶ月);高強度標準的行動介入(102人)(少なくとも1日1回,1ヶ月)に振り分けた.主要評価項目は6ヶ月時点での通常食以外の食事が不要での生存である.解析は治療企図解析で行った.

知見 6ヶ月間の解析までに死亡60人,脱落3人.6ヶ月後の通常食以外の食事が不要の生存は,通常治療にランダムに割り当てられた患者では56%(57/102),標準的な嚥下治療に割り当てた患者では67%(136/204)だった(相対リスク1.19,95%信頼区間0.98〜1.45).標準的嚥下治療は死亡率減少(相対リスク0.80,95%信頼区間0.5〜1.3),施設入所(0.69,0.4〜1.1),胸部感染(0.56,0.4=0.8),死亡および施設入所の合計(0.73,0.55〜0.97)と有意ではないが傾向があった.6ヶ月後に嚥下機能が回復した患者の割合は有意に高かった(1.41,1.03〜1.94).通常治療および低強度治療群と比較すると,高強度治療群は6ヶ月後に通常食に戻った患者の割合が有意に高く(p=0.04),嚥下機能が回復した割合が高かった(p=0.02).
解釈 これらのデータから,脳卒中の嚥下障害患者で早期の嚥下の行動介入の標準的プログラムに割り当てた患者はより良好な結果となる傾向が一貫して示された.このような介入には,能動的な治療的アプローチと食形態の調整がある. 



2015年8月17日月曜日

失語症:理論と診療における現時点でのコンセプト J Neurol Transl Neurosci2014

失語症:理論と診療における現時点でのコンセプト
















抄録
神経画像技術における最近の進歩により,脳−行動の関係に関する新たな見解が発展し,言語の機能的神経解剖の理解が深まった.言語の機能的神経解剖の最新のコンセプトから,言語理解と表出における豊富で複雑なモデルが考案された.このようなモデルにdual stream networks(二重経路ネットワーク)がある.失語は言語の基礎となる認知処理の破綻とみなされるようになってきた.失語症のリハビリテーションではエビデンスに基づいた部分と個人中心のアプローチを組み合わせる.皮質の興奮性を変化させる皮質脳刺激を与える手法のような新しい技術に,経頭蓋反復磁気刺激や経頭蓋直流電気刺激があるが,研究が始まったばかりである.このレビューでは言語への神経科学的なアプローチの基礎における歴史的な経緯を考察する.我々は言語と認知処理の神経基板の新しく作られた理論的モデルを試す.この神経基板は失語症の背景となっており,より洗練された微妙な言語の概念に関与している.失語症リハの現時点でのコンセプトをレビューし,このレビューには,行動療法の補助となるような皮質刺激の有望な役割や神経可塑性の原理や機能予後を最適化するようなエビデンスベース/個人中心の診療に基づいた治療アプローチの変化を含んでいる.

2015年8月13日木曜日

高齢者の嚥下障害:管理と栄養の検討 Clinical Interventions in Aging 2012

高齢者の嚥下障害:管理と栄養の検討



















抄録:嚥下障害は高齢者に多く見られる障害である.加齢は嚥下機能におけるわずかな生理機能の変化を促進するけれども,加齢に関連した疾患は嚥下障害の発生と重症度の重要な因子である.高齢者の疾患や医学的合併症の中でも,脳卒中と認知症は嚥下障害と高率に生じる.どちらの病態においても,嚥下障害は栄養障害を引き起こし,肺炎のリスクを高くする.最近の研究から,地域生活高齢者も嚥下障害のリスクがあり,栄養状態の障害や肺炎リスク上昇と結びつくことが示唆された.摂食・嚥下リハビリテーションは,このような対象において経口摂取の安全性を高めるための有効なアプローチであり,最近の研究では栄養状態の改善や肺炎発生率の低減に関連したさらなる効果が示されている.この記事では,嚥下の加齢性変化についてのデータをレビューし,脳卒中や認知症の患者,および地域生活高齢者の嚥下障害との関連性を議論する.それから,我々は代償的アプローチとリハ的アプローチの両方を含む嚥下障害の介入への基本的アプローチをレビューする.我々は,嚥下障害のある高齢者と嚥下障害のリスクのある高齢者の両方において,栄養障害と肺炎に対する摂食・嚥下リハビリテーションの好ましい効果についての議論の結論を述べる.

2015年7月16日木曜日

基準フレームの異なる半側空間無視の発症と神経学的基板についての研究 Arch Phys Med Rehabil 2012

基準フレームの異なる半側空間無視の発症と神経学的基板についての研究


























目的:基準フレームの異なる左半側空間無視の割合と神経系の関連因子を検討すること.
デザイン:ケースシリーズでの右半球損傷患者からデータを抽出した.
環境:病院のリハビリテーション科と神経内科.
参加者:右半球損傷患者(110人).
介入:なし
主要評価項目:基準フレームの異なる左半側空間無視の頻度を調べ,脳の責任病変を示し,解析した.
結果:条件が悪くて当初予定していた無視のテストを完了できなかった患者もいた.55人中8人は分類のためのテストを完了できなかった.無視の患者47人中30人(63.83%)は対象中心無視と自分中心無視の両方を示したが,一方,17人は自分中心無視のみを示した.下前頭回,中心前回,中心後回,上側頭回,中側頭回,島,および周辺の白質における病変が,無視群ではコントロール群よりも多かった.自分中心無視群と比べて,対象中心無視と自分中心無視の両方を示す患者では,右上側頭回,中側頭回,レンズ核,および周辺の白質の損傷が多かった.
結論:右脳損傷後の左無視の患者の半数以上が自分中心無視と対象中心無視の両方を有していた.左半側空間無視と関連があったのは,右下前頭回,中心前回,中心後回,上側頭回,中側頭回,島,周辺の白質だった.対象中心性の左無視は,右上側頭回,中側頭回,レンズ核と関連があった.


2015年6月9日火曜日

上肢リハビリテーションへの運動学習と運動制御の原則の応用 J Hand Ther 2013

上肢リハビリテーションへの運動学習と運動制御の原則の応用








抄録
この文献の目的は,運動制御と運動学習の原則の簡単なレビューを提供することである.古典的な運動制御モデルから現在のモデルへの違いはシステムモデルの重要性を強調して提示されている.スキルの獲得や学習の評価,そして練習スケジュールやフィードバックの使用といった多くの側面を研究することによるスキル獲得を促進する方法などの運動学習の概念を提供する.このような概念を理解し,実地臨床にどのように適用するかの理解を促進するために,仮想の症例を紹介し,記事の中で繰り返し提示する.


2015年6月7日日曜日

脳卒中発症後24時間以内の超早期離床(AVERT)の有効性と安全性:ランダム化比較対照試験 Lancet 2015


脳卒中発症後24時間以内の超早期離床(AVERT)の有効性と安全性:ランダム化比較対照試験





















背景 早期離床は脳卒中ユニットの治療の効果に寄与すると考えられている:しかしながら,介入内容はあまり定義されておらず,強いエビデンスによって支持されているわけではない.我々は,脳卒中後の高頻度・高用量の超早期離床の有効性を通常治療と比較することを目的とした.


方法 5ヶ国56ヶ所の急性期脳卒中ユニットで,並行群間・単盲検化・ランダム化比較対照試験を行った.初回または再発の脳梗塞または脳出血の患者(18歳以上)で,身体的条件を満たした患者をランダムに割り当てた(1:1).ランダム化にはウェブ上のコンピュータで生成したブロックランダム化手順(ブロックは6人)を用い,通常の脳卒中ユニットの治療のみを受けるか,通常治療に加えて超早期離床を行うかを決めた.rt-PAも使用は可とした.ランダム化は研究施設と脳卒中の重症度で階層化した.試験に参加した患者の効果の評価者と研究者,およびデータ管理に治療の割り当てをマスクして行った.主要評価項目は脳卒中発症3ヶ月後の予後良好とし,その定義はmodified Rankin Scale0-2とした.解析はintention-to-treat(治療企図)解析で行った.この試験はオーストラリア・ニュージーランド臨床試験登録に登録され,番号はACTRN12606000185561.


知見 2006年6月18日から2014年10月16日の間に2104人を患者を登録し,超早期離床(1054人)と通常治療(1050人)を受けるようにした.2083人(99%)の患者が3ヶ月後の追跡調査の評価を受けた.超早期離床群では965人(92%)が24時間以内に離床され,通常治療群では623人(59%)だった.予後良好の患者は超早期離床群では通常治療群より少なかった(480人[46%] vs 525人[50%];修正オッズ比0.73,95%信頼区間0.59〜0.90;p=0.004).超早期離床群では88人(8%)が死亡し,通常治療群では72%(8%)だった(オッズ比1.34,95%信頼区間0.94〜1.93;p=0.113).致死的でない重篤な有害事象は超早期離床群201人(19%),通常治療群208人(20%)で,超早期離床群で安静に関連した合併症が減少するということはなかった.

解釈 この試験ではほとんどの患者で24時間以内に最初の離床を行った.より高用量の超早期離床プロトコルは3ヶ月後の予後良好のオッズを低下させた.脳卒中後の早期離床は世界中で多くの臨床診療ガイドラインで推奨されており,我々の知見は現在のガイドラインを改良することで臨床診療に影響するはずである.しかしながら,用量と効果の関係に関する今後の研究による情報を臨床的推奨に加えるべきである.