2018年11月29日木曜日

高齢者において持続的な発熱を呈した緩徐進行性・無痛性胸部大動脈解離:生化学的パラメータの併用測定の有用性 Case Rep Med 2013

高齢者において持続的な発熱を呈した緩徐進行性・無痛性胸部大動脈解離:生化学的パラメータの併用測定の有用性

大動脈解離は緊急の診断と適切な介入を必要とするような致死的な病態である.急性大動脈解離はしばしば突然発症の強い胸痛として表れるので,医師は容易に適切な診断にたどり着くことができる.しかしながら,大動脈解離の患者の中には,典型的な強い胸痛はなく,様々な臨床的表現形を呈する患者もいる.そのために診断が遅れたり,死亡する可能性もある.我々は,原因不明の発熱の高齢患者で最終的に大動脈解離と診断された症例を提示する.本例では,プロカルシトニン検査陰性,D-Dダイマーおよび血清CPK-BB濃度上昇,CRP濃度の再上昇から我々は正しい診断に導かれた.

2018年11月26日月曜日

急性大動脈解離に伴う発熱 Circ J 2007

急性大動脈解離に伴う発熱
背景 発熱は急性大動脈解離のありふれた症状であるが,この発熱の期間と特性について公表された報告はほとんどない.
方法と結果 発熱の平均期間を,急性大動脈解離の患者の合計57人について計算した.患者は,それから2群に分けた:発熱期間が平均より短い群(グループA)と平均より長い群(グループB)である.偽腔サイズの縮小と血液学的パラメータをグループ間で比較した.発熱の平均期間は15.9± 11日だった.偽腔サイズの縮小比はグループA群(18.3±5.0%)ではグループB(2.0±5.3%)より有意に高かった.偽腔サイズ縮小比と発熱期間の間には有意な負の相関があった.血液学的パラメータは,フィブリン分解産物(FDP)を除いて2群間で有意な違いはなかったが,白血球数,血小板数,CRPはグループBでより高い傾向があった.
結論 発熱を調べることは,急性大動脈解離の個々の症例の状態を評価する上で重要である.

2018年10月27日土曜日

脊髄損傷後の心機能不全 J Med Life 2009

脊髄損傷後の心機能不全













抄録
 この記事の目的は,脊髄損傷後に発生する心機能不全を分析することである.心機能不全は脊髄損傷後のありふれた合併症である.心血管系の障害は,脊髄損傷の急性期と慢性期の両方における最多の合併症と死因である.
 我々は,脊髄損傷後の心障害の疫学と,自律神経系,すなわち交感神経と副交感神経の神経解剖と病態生理をレビューした.
 脊髄損傷は,重大な心機能不全と関連している.自律神経制御系の障害は,たいていは頚髄もしくは上位胸髄の脊髄損傷の患者でみられ,不整脈,とくに徐脈と,まれに心停止の原因となり,あるいは頻脈や血圧低下を生じさせる.脊髄ショックや自律神経異常反射のような外傷後の時間によって異なる特異的な合併症もレビューした.脊髄ショックは脊髄損傷後の急性期に生じ,損傷レベルより下位の一過性の機能と反射の停止状態である.神経原性ショックは,脊髄ショックの一部であり,重度の徐脈と血圧低下である.自律神経反射異常は,脊髄ショックが解消した後の慢性期に生じ,内臓交感神経出力(T5-T6)より上位の脊髄損傷の患者に生じる過大で不釣り合いな反射性交感神経放出という深刻な症候群である.何よりも,心臓脱調節や冠動脈心疾患といった,さらなる心合併症も生じることがある.
 非薬物戦略と薬物戦略,および心臓リハビリテーションを含む適切な予防によって,脊髄損傷後の心機能不全の発生が減少する.それぞれのタイプの心障害には特異的な治療が必要である.

2018年10月8日月曜日

脳卒中後の下肢遠位の痙縮の治療のためのonabotulinumtoxin A:ランダム化試験 PM R 2018

脳卒中後の下肢遠位の痙縮の治療のためのonabotulinumtoxin A:ランダム化試験













抄録
背景:脳卒中後の下肢遠位の痙縮は移動能力を阻害し,日常生活動作を制限し,介護者の時間をより多く必要とするようになる.
目的:脳卒中後の下肢痙縮のある成人におけるonabotulinumtoxin Aの有効性,安全性,効果の持続を評価すること.
条件:北米,ヨーロッパ,ロシア,英国,韓国にまたがる60の研究センター.
患者:足関節底屈筋に脳卒中後の下肢痙縮(modified Ashworth Scale[mAS]≧3)があり,研究参加前の直近の脳卒中から3ヶ月以上の成人(18-65歳).
介入:オープンラベル相の間,患者は12週間隔で,onabotulinumtoxin A(≦400単位)またはプラセボを投与された.治療は足関節底屈筋に行われた(onabotulinumtoxin A 300単位を足関節底屈筋へ;≦100単位を任意の下肢筋).
主要評価項目:二重盲検化主要エンドポイントは,ベースラインからのmASの変化(4週と6週の平均スコア)である.二次評価項目は,医師の評価でのClinical Impression of Change(CGI),任意の筋のベースラインからのmASの変化.Goal Attainment Scale(GAS),疼痛のスケールである.
結果:参加した468人の患者のうち,450人(90%)が二重盲検相を完了し,413人(88%)が研究を完了した.二重盲検相の間,onabotulinumtoxin AでみとめられたmASの小さな改善(onabotuli- numtoxin A, -0.8;プラセボ, -0.6,P=0.01)が,3期目のオープンラベル期間の6週の間の追加治療で,さらに増強された(onabotulinumtoxin A/onabotulinumtoxin A, -1.2;プラセボ/onabotulinumtoxin A, -1.4).二重盲検相でみとめられたCGIの小さな改善(onabotulinumtoxin A, 0.9;プラセボ, 0.7, P=0.01)も,3期目のオープンラベル期間の6週の間に増強された.(ona- botulinumtoxin A/onabotulinumtoxin A, 1.6;プラセボ/onabotulinumtoxin A, 1.6).医師と患者が評価したGASはそれぞれ後続の治療で改善した.新たな安全性の信号は現れなかった.
結論:onabotulinumtoxin Aは足関節のmAS,CGI,GASスコアをプラセボと比べて有意に改善させた;改善は,脳卒中後の下肢痙縮の患者では1年に渡るonabotulinumtoxin Aの反復治療で維持され,増大した.

エビデンスレベル:Ⅰ

2018年9月29日土曜日

急性大動脈解離における炎症による発熱:診断と治療のための説明と提案 Rev Esp Cardiol 2010



急性大動脈解離における炎症による発熱:診断と治療のための説明と提案


 急性大動脈解離を背景とした二次的な発熱を調査した研究はほとんどない.59人の患者の後方視的分析を行った.背景となる大動脈解離に続発した発熱基準を定義した.5人が,急性大動脈解離による炎症性の発熱に一致した臨床的表現形を有していた.主な特性は以下の通りである:発熱は最初の48時間以内に生じた,体温の変動が感染性の発熱よりも有意に小さい(P=0.015),発熱のエピソードは患者の全身的臨床状態に影響しなかった,経験的抗菌療法に反応しない,インドメタシンで治療した患者では発熱が24時間以内に消失した.結論として,急性大動脈解離による発熱は,感染性の発熱とは区別できるような明確な違いのある特徴があった.この病態のよい治療には不要な診断的検査や不適切な抗菌薬の使用を含むべきではなく,背景にある大動脈解離を治療するために必要な治療法を適用するのを遅延すべきではない.

2018年9月16日日曜日

大域的脳波位相同期は脳卒中後の臨床的状態を反映する:脳波研究 Neurorehabil Neural Repair 2017










大域的脳波位相同期は脳卒中後の臨床的状態を反映する:脳波研究













抄録
背景と目的.脳卒中によって生じた局所の脳病変はしばしば残存する神経ネットワークの活動に遠隔効果を与える.脳波技術は,脳損傷後の神経ネットワークの変調を評価することができる.近年,脳波の位相同期分析から,脳活動の大域的位相同期の程度と臨床症状の間の関連性が示された;しかしながら,脳卒中患者においてこのような関連性を評価した研究はほとんどない.対象.この研究の目的は,脳卒中患者における大脳半球位相同期の臨床的重要性を,その臨床状態との相関を計算することによって調査することである.方法.この横断的研究では,入院リハビリテーションのために入院した急性脳梗塞後の患者19人を対象とした.半球間位相同期指数(IH-PSIs; Interhemispheric phase synchrony indices)を,2つの周波数帯(アルファ[α])とベータ[β]で計算し,指数と機能的自立度(FIM),NIHSS,Fugl-Meyer Motor Assessment(FMA)のスコアの間の関連性と分析した.IH-PSIsのさらなる評価のために,病変と同側の半球内位相同期指数(IntraH-PSIs)を,IH-PSIsおよび半球内位相遅延指数(PLIs; IntraH-phase lad indices)とともに評価した.結果.IH-PSIsは外れ値を除いた後でFIMスコアと相関した.PLIsでの解析の結果はIH-PSIsと一致した.結論.PSIsは日常生活スケールの実行状態と相関したが,純粋な運動障害のスケールのスコアとは相関しなかった.このような結果から,IH-PSIsによって表現される大域的位相同期は脳卒中後の臨床状態についての新しい代替マーカーとなることが示唆される.

2018年9月5日水曜日

純粋延髄外側梗塞:連続130人の急性期患者の臨床像−放射線学所見の相関 Brain2003

純粋延髄外側梗塞:連続130人の急性期患者の臨床像−放射線学所見の相関

まとめ
延髄外側梗塞の患者における臨床像−MRI相関を作ろうという試みはなされてきたけれども,多数の患者の研究で参照可能なものはない.この研究では,連続した130人の純粋な延髄外側梗塞の急性期患者の臨床的特性とMRI所見および血管造影の結果を検討し,相関を比較した.MRIで判明した病変を口側尾側について,口側部,中部,尾側部に分類し,水平方向には,典型型,腹側型,広範型,外側型,背側型に分類した.水平方向のサブタイプの分布は,3つの口側尾側病変の間で,有意差があり(P<0.001),口側病変は腹側型になる傾向があり,尾側病変は外側型になる傾向があった.口側に局在する病変の患者は尾側病変の患者よりも,嚥下障害,顔面麻痺(各P<0.01),異常感覚(P<0.01)が有意に多く,重度の歩行失調,頭痛が有意に少なかった(P<0.05).嚥下障害(P<0.01),構音障害(P<0.01),両側三叉神経感覚パターン(P<0.05)の頻度は,‘広範型’の患者では外側型病変の患者と比べて頻度が高いという点において,水平方向のサブタイプの間で有意に差があった.123人の患者に行われた血管造影から,椎骨動脈疾患が67%,後下小脳動脈の疾患が10%にみとめられた.推定される病態の機序は,50%が大血管梗塞,15%が動脈解離,13%が小血管梗塞,5%が心原性塞栓だった.解離は尾側病変(口側病変に対して)の患者により多く生じ(P<0.01),一方,背側型梗塞(他のタイプに対して)は心原性塞栓や正常血管所見とより多く関連していた(それぞれP<0.05).孤発性の後下小脳動脈疾患は(椎骨動脈疾患を伴う患者に対して,心原性塞栓がより多く(P<0.05).解離はより少なかった(P<0.05).MRIの口側−尾側および水平面の分類は,不均一は延髄外側梗塞の臨床像と,部分的には病態の側面を理解する手助けとなる.