リハビリテーションのブラックボックスの向こう側:成人脳卒中患者の痙縮に対するボツリヌス毒素注射後の訓練プログラムの特性を明らかにする
目的:脳卒中リハビリテーションの分類法を用いて,脳卒中後の痙縮に対するボツリヌス毒素注射後の歩行リハビリテーションプログラム(理学療法と作業療法の活動と介入)を記述すること.提供された治療と注射された四肢および治療ゴールの関係を調べること.
デザイン:前方視・観察的コホート研究.
参加者:脳卒中患者で,上肢,下肢,または上下肢の痙縮に対し,ボツリヌス毒素注射後に歩行リハプログラムに参加した者(47人).
方法:標準化した訓練記載用紙を,作業療法・理学療法のセッションについてそれぞれ記入した.主要評価項目は;種々の治療活動に費やした訓練時間の合計の割合;もっとも長時間を費やした活動を促通するために用いた介入の総セッションの割合;各活動のカテゴリーに関連したゴールの割合である.サブ解析は,参加者に対して,注射した手足に基いて実施した.
結果:上肢に注射された場合がより多く,“上肢コントロール”の活動にもっとも多くの時間を費やされていた.訓練時間のかなりの割合が,“実行スキルや身体構造または機能障害”の修正に費やされていた.上下肢群または下肢群において,それぞれゴールの38.7%,46.2%がこの活動カテゴリーに関連していたが,上肢群では10%未満だった.地域への参加や余暇活動にはほとんど時間を費やしていなかったが,一方,下肢群の1/3以上がこのカテゴリーに関連したゴールだった.
結論:脳卒中後の痙縮に対するボツリヌス毒素注射後の歩行リハプログラムは,注射した四肢によって違いがあり,ある程度は治療ゴールを反映する.