2021年5月23日日曜日

疲労感,息切れ,運動耐用能,認知機能を改善するためのCOVID-19後の患者に対するリハビリテーションの早期の経験−コホート研究 Chron Respir Dis 2021

 


疲労感,息切れ,運動耐用能,認知機能を改善するためのCOVID-19後の患者に対するリハビリテーションの早期の経験−コホート研究


抄録

COVID-19の持続する症状のある患者は,包括的回復プログラムを提供されるべきである.6週間の週2回の監督下でのリハビリテーションプログラムを完了した30人(平均年齢[SD]58[16]歳)は,運動耐用能,呼吸症状,疲労感,認知機能に有意な改善を示した.参加者は,漸増シャトルウォーキングテストで112m改善し,一定負荷シャトルウォーキングテストで544秒改善した.記録された重篤な有害事象はなく,症状の悪化に関連した脱落もなかった.COVID-19のリハビリテーションは,実行可能で,臨床的アウトカムを有意に改善させる.

2021年5月17日月曜日

新型コロナ感染症からの治癒:生存者は肺線維症のリスクがあるか? Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 2021

 


新型コロナ感染症からの治癒:生存者は肺線維症のリスクがあるか?







抄録

新型SARS-CoV-2コロナウイルスは,COVID-19の原因であり,2019年12月に中国の武漢で最初に報告された.ウイルスは急速に拡大し,世界保健機構は2020年3月にパンデミックを宣言した.世界中で確定診断された何百万の症例があり,コロナウイルス感染が,回復した患者における慢性期の呼吸器症状や線維化疾患の相当な負担に関与する可能性についての懸念が増大しつつあり,かなりの議論がある.COVID-19の最初の症例が報告されたのは1年以内のことであるため,長期的な臨床的帰結についてのデータは未だに参照可能ではない.そして,長期的な帰結の予測については最大でも推測に留まる.しかしながら,圧倒的な数の症例と,多くの患者における疾患の重症度のために,COVID-19の長期的な影響の可能性を検討することの重大の必要性が生じている.このレビューでは,SARS-CoV-2の文脈におけるウイルスの損傷の線維化の機序に関する現時点での基礎と臨床データを調査する.コロナウイルス感染と線維化の経路の間のいくつかの交差する機序が議論され,患者のアウトカムを改善させるための標的となるかもしれない要因とプロセスに着目する.過去のコロナウイルスのアウトブレイクの感染後の後遺症の報告を,線維化疾患について関与する可能性危険因子の認識を改善という目標に向けて提示する.

2021年5月9日日曜日

脳卒中亜急性期で相当の脚の障害のある患者における非障害側下肢運動野の反復経頭蓋磁気刺激の効果:予備研究 J Rehabil Med 2015

 

脳卒中亜急性期で相当の脚の障害のある患者における非障害側下肢運動野の反復経頭蓋磁気刺激の効果:予備研究
















目的:脳卒中亜急性期後の相当の下肢障害のある患者の間での歩行機能に対する反復経頭蓋磁気刺激rTMSの効果を評価すること.
デザイン:シャム比較群を対象とした二重盲検・層別化・ランダム化試験.
参加者:初回脳卒中亜急性期後の片側片麻痺で,入院脳卒中リハビリテーションを行っている患者.
方法:本研究で使用された15日間の介入プログラムでは,rTMS(1Hz,15分)を非障害側半球の脚の運動野上に適用し,その後で45分間の理学療法を行なった.全体として,32人の参加者がランダムに,実刺激のrTMSとシャム刺激のrTMSのいずれかを受けるように割り付けられた.臨床評価として,the Postural Assessment Scale for Stroke Patients (PASS),the Performance Oriented Mobility Assessmentのバランスの下位スケール(POMA-b),Fugl-Meyer Assessment,Barthel Index(BI),Timed Up & Go testを含み,介入直前・直後に実施した.
結果:両群とも,すべての評価で継時的に有意な改善を示した.測定後の評価で,実刺激のrTMS群の患者は.シャム刺激のrTMS群の患者と比べて,PASS,POMA,BIのスコアでより大きな改善を示した.さらに,実刺激のrTMS群では,シャム刺激のrTMS群よりも多くの数の患者が,歩行能力を回復した.
結論:1 Hz rTMSの適用は,脳卒中亜急性期後の相当の下肢障害の患者において,歩行能力を改善するかもしれない.

2021年5月3日月曜日

嚥下障害のある成人に対する経皮的内視鏡的胃瘻造設術対経鼻胃管栄養(レビュー) Cochrane Database Syst Rev 2015


 嚥下障害のある成人に対する経皮的内視鏡的胃瘻造設術対経鼻胃管栄養(レビュー)


抄録

背景

 数多くの病態が消化管に沿った食物の通過を損なう.経鼻胃管栄養は古典的で,実績のある手法である.とはいえ,その長期的な使用は,鼻翼の病変や慢性鼻副鼻腔炎,胃食道逆流,誤嚥性肺炎といった合併症を引き起こし得る.もう1つの注入方法である経皮的内視鏡的胃瘻造設(PEG, Percutaneous Endoscopic gastrostomy)は,長期間,経腸栄養の必要性があると一般に用いられている.嚥下障害のある患者においてPEGについて高い必要性がある.とはいえ,経鼻胃管と比較した有効性・安全性について一貫したエビデンスはない.



目的

 嚥下障害のある成人に対して,経鼻胃管と比較したPEGの有効性と安全性を評価すること.



検索戦略

 我々は,開始から2014年8月までのThe Cochrane Library,MEDLINE,EMBASE,LILACSを検索し,対象領域の筆頭著者と連絡をとった.検索には言語の制約を設けなかった.



選択基準

 我々は,何らかの背景疾患で嚥下障害があり栄養サポートの適応のある成人に対するPEGと経鼻胃管を比較したランダム化比較対照試験を対象とすることを計画した.主要評価項目は,介入失敗(例えば,栄養投与の中止,チューブの閉塞や漏れ,治療アドヒアランス不良)である.



データ収集と分析

 我々は,The Cochrane Libraryから求められる標準的方法論的手法を用いた.二分変数と連続変数について,我々は,相対リスク(RR, risk ratio)と平均差(MD, mean difference)を,それぞれランダム効果統計モデルと95%信頼区間(CI, confidence interval)で用いた.我々は,I2>50%をもって統計学的異質性と推定した.



主な結果

 我々は,アウトカムデータのメタ解析16篇を作り出した参加者735人での11篇のランダム化比較対照研究を対象とした.メタ解析から,介入失敗の主要評価項目は,8研究,参加者408人で,経鼻胃管に比べてPEGの参加者で割合が低く(相対リスク0.18, 95%信頼区間0.05-0.59),この差は統計学的に有意だった.この評価項目について,我々はPEGの手技によって,プル法プッシュ法報告なしによる研究にサブグループ化した.我々は,プル法サブグループではPEGが良好な有意差をみとめた(相対リスク0.07,95%信頼区間0.01-0.35,3研究,参加者90人).プッシュ法サブグループは臨床研究1篇しかなく,結果はPEGが良好だった(相対リスク0.05,95%信頼区間0.00-0.74,1研究,参加者30人).手技が報告されていない場合,統計学的有意差をみとめなかった(相対リスク0.43,95%信頼区間0.13-1.44,4研究,参加者285人).


 二次評価項目は,死亡率(相対リスク0.86,95%信頼区間0.58-1.28,参加者644人,9研究,とても低い質のエビデンス),いずれかの追跡時点での何らかの有害イベント(治療企図解析,相対リスク0.83,95%信頼区間0.51-1.34,参加者597人,6研究,中等度の質のエビデンス),(誤嚥性)肺炎を含む特定の有害イベント(相対リスク0.70,95%信頼区間0.46-1.06,参加者645人,7研究,低い質のエビデンス)には統計学的有意差がなく,終了時のベースラインからの体重変化や上腕周囲径を含む栄養状態でのメタ解析でも統計学的有意差はなかった.しかし,上腕周囲径のベースラインからの変化のメタ解析でPEGが良好(平均差1.16,95%信頼区間1.01-1.31,参加者115人, 2研究)とPEGグループで血清アルブミン濃度がより高い(平均差6.03,95%信頼区間2.31-9.74,参加者107人)というエビデンスがあった


 経腸栄養の期間の二次評価項目のメタ解析については統計学的有意差はなかった(平均差14.48,95%信頼区間-2.74-31.71,参加者119人, 2研究).参加者133人での 2研究における生活の質(EuroQol)のメタ解析では,不便さ(相対リスク0.03,95%信頼区間0.00-0.29),不快感(相対リスク0.03,95%信頼区間0.00-0.29),身体イメージの変化(相対リスク0.01,95%信頼区間0.00-0.18; P=0.001),社会活動(相対リスク0.01,95%信頼区間0.00-0.18)について,介入はPEGが良好であり,つまり,PEG介入で不便さや不快感,社会活動の障害を感じた参加者がより少なかった.しかしながら,疼痛や使い方の学習の容易さ,あるいは在院日数の二次評価項目( 2研究,参加者381人)では群間の差はなかった.



著者らの結論

 PEGは,介入失敗の可能性が低く,内視鏡的手技が経鼻胃管と比べて,より有効で安全であるかもしれないことを示唆している.比較群の間に死亡率や,誤嚥に関連した肺炎を含む有害イベントには有意差はなかった.将来の研究では,基礎疾患や年齢,性別を含む人口統計学的データ,および胃瘻造設手技の詳細を含めるべきである.