2018年7月27日金曜日

最適な医学的治療をなされていないA型大動脈解離の患者における血しょう炎症バイオマーカーの時間依存性変化 J CArdiothorac Surg 2015


最適な医学的治療をなされていないA型大動脈解離の患者における血しょう炎症バイオマーカーの時間依存性変化
















抄録
目的:A型大動脈解離の患者で,解離の発症から最適でない医学的治療を受けていた患者におけるインターロイキンIL-6,CRP,腫瘍壊死因子TNF-αの時間依存性変化を調べること.
デザインと方法:入院中のA型大動脈解離の患者92人において,IL-6,CRP,TNF-αをELISAと免疫比濁法で検出した.コントロール不良な高血圧患者78人,健常ボランティア82人の血液標本もコントロールとして分析した.胸部大動脈解離に関連した合併症の発生と,これらの炎症バイオマーカーの血しょう濃度の関連性も調査した.
結果:胸部大動脈解離では,コントロール不良の高血圧症や健常者群よりも,炎症メディエータの濃度が有意に高かった.胸部大動脈解離群におけるIL-6,TNF-αの血しょう濃度のピークまでの時間は,CRPよりも有意に短かった.胸部大動脈解離群では,51人の患者が胸部大動脈解離群に関連した合併症を生じ,胸部大動脈解離に関連した合併症のない患者群よりも,血しょうCRP濃度が有意に高かった(94.5±58.8 mg/L vs 47.4±47.8 mg/L,p<0.001).また,CRP濃度(r=-0.69, p<0.001)とクレアチニン(r=0.60, p<0.001)がPaO2/FiO2比と強い相関があった.合併症群では,合併症のない群よりもCRP濃度のピークまでの時間は有意に短く,CRP高値の機関が有意に長かった.
結論:血しょうCRP,IL-6,TNF-αの濃度の上昇と,持続的な高値は,胸部大動脈解離の進行性の進展に関連した.CRPのパターンが変わることは,合併症の治療と予防のマーカーになるかもしれない.我々の知見は,解離の進行と胸部大動脈解離に関連した合併症における炎症の重要な役割を示唆した.

2018年7月20日金曜日

通常診療における国際生活機能分類のシステム全体にわたる実践に向けて:中国における予備的研究からの教訓 J Rehabil Med 2016

通常診療における国際生活機能分類のシステム全体にわたる実践に向けて:中国における予備的研究からの教訓

























2011年,リハビリテーションにおける中国の指導者は,国際生活機能分類(ICF)の研究部門の協力で,中国の医療システムにおいてシステム全体にわたるICFの実戦に向けた取り組みに着手した.ここで我々は,中国における通常の実地診療で使用するために,ICF一般セットをテストする試験段階で得られた教訓を報告する.このセットはICFの7つのカテゴリーの簡潔なセットで,一般人口や種々の健康状態の人にわたって機能状態をよく説明できることが示されている.この記事では,分類と評価が比較可能かどうか,通常診療でのデータ収集においてどのくらいの数のICFカテゴリーを含めるべきか,実地診療と医学研究のプランニングにおいて機能状態のプロフィールと機能状態のスコアの有用性を議論する.さらに,この記事では,評価スケールにおけるICF評価点の使用や,中国のリハビリテーションや医療の中で項目として使用されるときにICF一般セットに含まれる,ある種のICFカテゴリーの特殊性をよく検討している.最後に,リハビリテーションと医療サービスにおけるICFのシステム全体にわたる有用性を強化するために必要な手順を立案する.

2018年7月13日金曜日

国際生活機能分類(ICF)リハビリテーションセットに向けて:医療戦略としてのリハビリテーションのための最小限の領域の一般セット Arch Phys Med Rehabil 2016

国際生活機能分類(ICF)リハビリテーションセットに向けて:医療戦略としてのリハビリテーションのための最小限の領域の一般セット














抄録
目的:一連の治療に沿った臨床的な集団において機能状態と障害を報告し評価するための最小限の標準として,国際生活機能分類の包括的セットを作成すること.具体的な目的は,ICFリハビリテーションセットについて推奨される機能状態の領域を特定し,様々な健康状態の個人や集団をまたいで障害を説明するときに,ICFリハビリテーションセットを並行して使用できる環境因子の最小セットを突き止めることである.
デザイン:回帰法(Random ForestとGroup Lasso回帰)を用いた既存のデータの二次的解析と専門家の協議.
条件:急性期,急性期後早期,長期の連続的な治療に沿ったリハビリテーションと地域リハビリテーション.
参加者:種々の健康状態の人(9863人)が主要研究に参加した.従属変数データが利用可能で,この解析に使用した回答者の数は9264人だった.
介入なし
主要評価項目回帰モデルのために,自己報告での全般的な健康を従属変数として用いた.機能状態の要素と環境因子の要素のICFカテゴリーを,それぞれICFリハビリテーションセットと環境因子の最小セットの作成のための独立変数として用いた.
結果12の環境因子で補完された30のICFカテゴリーが,確認されたICFセットと関連していることがわかった.ICFリハビリテーションセットは,身体機能の要素から9個のICFカテゴリーと活動と参加の要素からの21のICFカテゴリーで構成された.環境因子の最小セットは,ICFの環境因子全体に及ぶ12カテゴリーで構成されていた.

結論判定されたセットの試案は,健康状態,時期,リハビリテーションを含む医療条件,国の中で,あるいはまたいで,データを報告するための臨床的な集団における機能状態の側面の最小限の一般セットとして機能する.このようなセットは,一般集団と臨床的集団にわたって,障害に関する既存の情報を調和させるための参照フレームワークを示す.