2021年8月30日月曜日

脳梗塞急性期とハイリスクTIAにおけるクロピドグレルとアスピリン NEJM2018

 

脳梗塞急性期とハイリスクTIAにおけるクロピドグレルとアスピリン















抄録

背景

クロピドグレルとアスピリンの抗血小板剤併用療法は,軽症脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)後の最初の3ヶ月の間の最初の割合を減少させるかもしれない.中国人の集団における抗血小板剤併用療法の試験では脳卒中再発のリスクの減少が示された.我々は,国際的な集団でこの併用療法を試験した.

方法

我々は,ランダム化試験で軽症脳梗塞またはハイリスクTIAの患者を,初日にクロピドグレル600mgの初回投与量,その後は75mg/日とアスピリン(50-325mg/日)を服用する群と,同じ範囲の投与量のアスピリン単独に割り付けた.各群のアスピリンの用量は,施設の研究者によって選択された.時間生存解析における主要有効性評価項目は,主要虚血イベントのリスクの合計であり,これは90日目での脳梗塞,心筋梗塞,虚血性血管イベントによる死亡と定義した.

結果

各国の269の施設で合計4881人が参加した.試験は,患者の予想数の84%が参加した後で中止した.なぜなら,データ安全性監視委員会が,クロピドグレルとアスピリンの併用はアスピリン単独よりも90日目の主要虚血イベントのリスク低下と重篤な出血のリスク増大と関連すると判断したからである.主要虚血イベントは,クロピドグレルとアスピリンを投与された2432人の患者の121人(5.0%)に生じ,アスピリンとプラセボを投与された2449人のうち160人(6.5%)に生じ(ハザード比0.75;95%信頼区間0.59-0.95; P=0.02),ほとんどのイベントは最初のイベントから1週間の間に生じた.重篤な出血は,クロピドグレルとアスピリンを投与された患者のうち23人(0.9%)に生じ,アスピリンとプラセボと投与された患者のうち10人(0.4%)に生じた(ハザード比2.32;95%信頼区間1.10-4.87;P=0.02).

結論

軽症脳梗塞またはハイリスクTIAの患者において,クロピドグレルとアスピリンの併用を受けた患者は,アスピリン単独を受けた患者よりも,90日目の主要虚血イベントのリスクが低下したが,重篤な出血のリスクは増大した.