2021年3月17日水曜日

誤嚥性肺炎 NEJM 2019


 誤嚥性肺炎は,区別できる独立した存在物としてよく見なされているわけでなく,市中肺炎も院内肺炎も含む連続体の一部と考えられている.誤嚥性肺炎の数は,市中肺炎の症例の5%から15%と推定されているが,院内肺炎についての実態は参照不能である.誤嚥性肺炎の確固たる診断基準は存在せず,結果として,この病態の研究には不均一な患者集団が対象となる.

 少量の口腔咽頭分泌物の誤嚥は,健常者での睡眠中は正常であるが,微小誤嚥は多くの肺炎で主要な発症機序である.細菌の繁殖した口腔咽頭内容物や上部胃消化管内容物の大量の誤嚥(多量誤嚥)は,誤嚥性肺炎の必須条件である.患者の症状や疾病の治療に栄養する変数には,細菌の病原性,反復するイベントのリスク,それが生じた場所(介護施設,病院,地域)がある.この連続体に応じて,誤嚥性肺炎であると識別された患者は,通常は,多量誤嚥に対する危険因子での臨床的表現型と特徴的な解剖学的な肺の部位の関与を呈する.誤嚥症候群には,気道や肺実質を巻き込んで,さまざまな臨床的表現型を引き起こすかもしれない.

 このレビューでは,肺実質に関わる誤嚥,主に誤嚥性肺炎と化学性肺臓炎に着目する.血液や異物のような非感染性物質の誤嚥も重要である.誤嚥性肺炎は,特定の微生物によって生じる感染であるが,一方,化学性肺臓炎は刺激性の胃内容物への炎症反応である.細菌と肺の間の相互作用の我々の理解は改善してきた.我々はこの改善を,誤嚥性肺炎の微生物学と発症機序の概念の変化に沿って調査する.我々は,誤嚥性肺炎と化学性肺臓炎の両方の臨床的特徴・診断.治療・予防,さらに危険因子を検討する.