2016年7月16日土曜日

脳卒中後の上肢に対するボツリヌス毒素(BoTULS)試験ー障害,活動制限,疼痛への効果 Stroke 2011



脳卒中後の上肢に対するボツリヌス毒素(BoTULS)試験
障害,活動制限,疼痛への効果
背景と目的−ボツリヌス毒素は,脳卒中による上肢の痙縮治療のためにますます使用されるようになっている.しかし,その上肢機能への効果ははっきりしていない.我々は,脳卒中後の上肢痙縮と機能に対するボツリヌス毒素を評価した.
方法−上肢痙縮と上肢機能低下のある脳卒中患者333人が,多施設ランダム化比較対照試験に参加した.介入群はA型ボツリヌス毒素注射と4週間の治療プログラムを受けた.コントロール群は治療プログラムのみを受けた.治療の繰り返しは,3,6,9ヶ月目に可能とした.主要評価項目は1ヶ月後の上肢機能(Action Research Arm Test)である.二次評価項目は,1,3,12ヶ月後の障害,活動制限,疼痛である.評価項目の評価はもう喧嘩し,解析は治療企図解析として行った.
結果−1ヶ月後の上肢機能(Action Research Arm Test)改善の達成において有意差はなかった(介入群42/167[25%],コントロール群30/154[19.5%];p=0.232).介入群に優位な有意差は以下に見られた;1ヶ月後の筋緊張,3ヶ月後の上肢筋力,1・3・12ヶ月後の基本的な上肢機能課題(手の衛生,更衣を容易にする),12ヶ月後の疼痛.
結論−A型ボツリヌス毒素は,脳卒中後の痙縮のある患者の大多数では,能動的上肢機能の改善において有効ではないないようだ.しかし,基本的な上肢課題(手の衛生,更衣を容易にする)と疼痛を改善させるかもしれない.