2018年4月12日木曜日

生活機能・障害・健康の国際分類に基づいた高齢者の基本動作・移乗・歩行機能の段階付け BMC Geriatr 2013


生活機能・障害・健康の国際分類に基づいた高齢者の基本動作・移乗・歩行機能の段階付け
















抄録
背景:生活機能・障害・健康の国際分類(ICF)は,健康状態の負担を記載できるような共通の分類法として世界保健機関によって紹介された.この研究では,ICFに基づいて,基本動作・歩行機能を段階付けするためのスケールの開発に着目する.
方法:Raschモデルへの適合とその配置をテストするために,33のICFコードが選択された.これらのICFの項目のうち,高齢者における機能的実行状況を段階付けするために,“基本動作”のGuttman型スケールを作成できる4項目が用いられ,“歩行”スケールを作成するために,別の4項目が用いられた.参加者は,ランダムに選択され,65歳以上の日本人で,公的介護保険のサービスを用いており,彼らの機能評価をスケールの作成と妥当性の検証のために用いた.
結果:スケールの作成について,候補となる高齢者が1164人だった.高齢者の機能的実行状況を段階付けするために,“基本動作”と“歩行”の2つのGuttman型スケールを構築した.項目の難易度の順番は3260人の高齢者を用いて検証した.新しく作成したスケールにおいて,研究の場所,性別,年齢グループについて機能状態の新たな項目はなかった.これらの結果は,新しく作成したスケールが内容妥当性を有していることを示唆した.
結論:これらのスケールでは,機能的実行状況を,4つのICFコードにしたがって5段階に分割し,評価を簡便化し,時間がかからないようにして,高齢者の機能レベルの明確な説明が可能となった.これは,ICFの項目を階層的に再配置し,Raschモデルを用いて項目の難易度にしたがってGuttman型スケールを構築することによって成し遂げられた.さらに,それぞれの機能

レベルは同等のリソースを必要とし,それゆえに治療とリハビリテーションの標準化を可能にするかもしれない.ICFを共通の分類法として用いることで,これらのスケールは,高齢者の治療・介護環境で評価スケールとして国際的に用いることができるかもしれない.しかしながら,これらのスケールは,国際的な適用のためにさらなる妥当性と信頼性の研究が必要である.