脳出血と脳梗塞後のリハビリテーションでの機能回復
目的:リハビリテーション療法後の回復を定量化し,脳梗塞と比較して脳内出血後の患者における機能的帰結を予測する因子を判定すること.
デザイン:4年間にわたるリハビリテーション病院への脳内出血および脳梗塞の連続した入院患者の後方視的研究.
条件:独立した都市部のリハビリテーション病院.
参加者:合計1064症例が対象基準を満たした(女性545人,男性519人;脳梗塞871人,脳内出血193人).
介入:参照不能.
主要評価項目:FIMを用いて評価した機能状態で,入院時と退院時に記録した.回復はFIM合計スコアの変化(ΔFIM合計スコア)で定量化した.帰結評価は,退院時合計FIMスコアとΔFIM合計スコアである.単変量解析と多変量解析を行なった.
結果:入院時FIM合計スコアは,脳梗塞患者では,脳内出血患者よりも高かった(59対51,P=0.0001).退院時FIM合計スコアにおいては差はなかった.脳出血の患者は脳梗塞の患者よりも有意に大きな回復を生じた(ΔFIM合計スコア28対23.3,P=0.002).多変量解析では,若年であること,在院日数が長いこと,入院時のFIM認知下位スコアが,退院時FIM合計スコアとΔFIM合計スコアを独立して予測した.入院時FIMスコアで示された入院時の障害の重症度は,退院時FIM合計スコアを独立して予測したが,ΔFIM合計スコアは予測しなかった.最重症の脳卒中の脳内出血患者は,同程度の重症度の脳梗塞患者よりも有意に大きな改善を生じた.
結論:入院時には,脳内出血患者は,脳梗塞患者よりも重度の機能的障害を有していたが,より大きく改善した.最重症の脳内出血患者は,同程度の重症度の脳梗塞患者よりも改善した.初期の重症度,年齢,治療期間が,リハビリテーション後の機能予後をもっともよく予測した.