基準フレームの異なる半側空間無視の発症と神経学的基板についての研究
目的:基準フレームの異なる左半側空間無視の割合と神経系の関連因子を検討すること.
デザイン:ケースシリーズでの右半球損傷患者からデータを抽出した.
環境:病院のリハビリテーション科と神経内科.
参加者:右半球損傷患者(110人).
介入:なし
主要評価項目:基準フレームの異なる左半側空間無視の頻度を調べ,脳の責任病変を示し,解析した.
結果:条件が悪くて当初予定していた無視のテストを完了できなかった患者もいた.55人中8人は分類のためのテストを完了できなかった.無視の患者47人中30人(63.83%)は対象中心無視と自分中心無視の両方を示したが,一方,17人は自分中心無視のみを示した.下前頭回,中心前回,中心後回,上側頭回,中側頭回,島,および周辺の白質における病変が,無視群ではコントロール群よりも多かった.自分中心無視群と比べて,対象中心無視と自分中心無視の両方を示す患者では,右上側頭回,中側頭回,レンズ核,および周辺の白質の損傷が多かった.
結論:右脳損傷後の左無視の患者の半数以上が自分中心無視と対象中心無視の両方を有していた.左半側空間無視と関連があったのは,右下前頭回,中心前回,中心後回,上側頭回,中側頭回,島,周辺の白質だった.対象中心性の左無視は,右上側頭回,中側頭回,レンズ核と関連があった.