脳卒中後の感覚運動機能のFugl-Meyer Assessment
実地臨床と臨床試験のための標準化された訓練手順
背景と目的−多施設・ランダム化・臨床試験での施設内および施設間の帰結評価の忠実性は,試験の有意義な結果のために必要不可欠な要素である.実用性を持ちえるランダム化臨床試験のために作られた手法は実地臨床においても同様に重要である.Fugl-Meyer Assessmentの運動項目と感覚項目全体のために標準化された評価法と評価者の研修プログラムが作られた;検者間信頼性が用いて,プログラムの有効性を評価した.
方法−片麻痺患者15人,地域の臨床施設5施設から訓練されたPT17人,評価の専門家1人が,Fugl−Meyer Assessment運動項目(総合,上肢と下肢の下位スコア)と感覚項目(総合,触覚と固有覚の下位スコア)の検者間信頼性の研究に参加した.
結果−評価の専門家の検者内信頼性は運動項目・感覚項目で高かった(0.95-1.0).専門家とPTの間で運動項目(総合0.98;上肢0.99;下肢0.91)および感覚項目(総合0.93;触覚0.87;固有覚0.96)で,検者間一致は高かった(級内相関系数2.1).
結論−多施設・リハビリテーション・ランダム化・臨床試験のための標準化された評価法とセラピストの研修によって,Fugl-Meyer Assessment運動項目・感覚項目の高い検者間信頼性が得られた.脳卒中後の感覚運動の障害重症度が,このような方法で実地診療およびリハビリテーション研究で信頼性を持って評価できる.Fugl-Meyer assessmentの評価法を標準化して,評価の精度が高まったかどうかという研究である.
リハの研究のoutcomeは,このように人が評価するスケールが使用されることが多く,このように評価の妥当性の確認と,それを担保するための対策がとられているかどうか,ということも研究の質に関わる重要なポイントなのである.
Fugl-Meyer assessmentは日常臨床では日常的に用いられている評価法とは言いがたいが,臨床研究ではよく使用されている.
単に随意運動を評価しているだけでなく,反射や筋緊張,目的を持った動作も網羅されており,運動機能の評価として幅広く網羅されており,この論文のように手順を統一することで評価の精度の高めることができるだろう.
実は自分で評価したことはなかったので,この論文を読んでみて,この評価で何が評価されているかがよくわかり,大変勉強になった.付録として掲載されていた標準的評価法も訳したので参考になれば幸いである.
本文はこちらから入手できます.
日本語訳はこちら(パスワードは論文タイトルの頭文字をつなげてください.大文字・小文字を区別して,記号は除いて10文字目まで).
例:The Purpose of Life is a Life of Purpose. -> TPoLiaLoP
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