2019年4月12日金曜日
脳卒中後の半側空間無視に対する非侵襲的脳刺激:ランダム化・非ランダム化比較対象試験の系統的レビューとメタ解析 Neural Plasticity 2018
脳卒中後の半側空間無視に対する非侵襲的脳刺激:ランダム化・非ランダム化比較対象試験の系統的レビューとメタ解析
背景.半側空間無視は,脳卒中後にもっとも多い知覚障害である.非侵襲的脳刺激は,皮質の興奮性を調整し,知覚能力と機能的能力を改善させるリハビリテーションプロセスにおいて用いられてきたツールである.目的.脳卒中後の半側空間無視に対する非侵襲的脳刺激の効果を評価する.方法.2016年7月までで広範囲の検索を行った.研究が,脳卒中後の半側空間無視で,標準化された半側空間無視のテストと機能的テストで帰結を評価されたものであって,経頭蓋直流電気刺激(tDCS),反復経頭蓋時期刺激(rTMS),シータバースト刺激(TBS)を調べた比較試験・非比較試験であれば選択した.結果.ランダム化比較試験12編(参加者273人),非ランダム化比較試験4編(参加者94人)が的確とわかった.我々は,非侵襲的脳刺激で,シャムと比較して,線分二等分試験で評価された全体的な半側空間無視に効果をみとめた(SMD-2.35,95%信頼区間-3.75− -0.98;p=0.0001);rTMSは,全体的なメタ解析(SMD-2.82,95%信頼区間-3.66− -1.98;p=0.09)と一致した結果が得られた.シャム刺激と比較して,rTMSは,1Hz(SMD1.46,95%信頼区間0.73− 2.20;p<0.0001)および10Hz(SMD1.19,95%信頼区間0.48−1.89;p=0.54)の両方で,Motor- Free Visual Perception Testで評価した全体的な半側空間無視にも効果があった.1Hz rTMSはシャム刺激と比べて,Albert試験および線分抹消試験で測定した全体的半側空間無視にも効果があった(SMD2.04,95%信頼区間1.14−2.95;p<0.0001).結論.結果から,全体的な半側空間無視に対する非侵襲的脳刺激の効果が示唆され,我々はrTMSは脳卒中後の半側空間無視に対して,シャム刺激と比べて,より効果的であると結論づけた.
半側空間無視に対する脳刺激療法のレビューである.経頭蓋反復磁気刺激rTMSに関しては,比較的強いエビデンスがあるという結果であった.
rTMSが質の高い研究が多かったということを反映したものであって,他の刺激法との優劣を必ずしも反映しているわけではないことは注意して読むべきであるが,いずれにしても半側空間無視にrTMSを考慮することは,裏付けのある医療と言って良いだろう.
1つ残念なことは,無視の評価が机上の視覚的な探索課題が多いことである.生活場面で問題になるのは,注意障害や脱抑制的な行動という場合も多い.このあたりは定量化しにくいので,質の高いエビデンスになりにくいという事情もある.ADLや行動的な無視の評価ほうが広く普及してほしいものである.
本文はこちらから入手できます.
日本語訳はこちら(パスワードは文献タイトルの単語の頭文字をつなげてください.大文字と小文字を区別して,10文字目まで).
例:Everybody's Business is Nobody's Business. -> EBiNB
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿