2015年6月9日火曜日

上肢リハビリテーションへの運動学習と運動制御の原則の応用 J Hand Ther 2013

上肢リハビリテーションへの運動学習と運動制御の原則の応用








抄録
この文献の目的は,運動制御と運動学習の原則の簡単なレビューを提供することである.古典的な運動制御モデルから現在のモデルへの違いはシステムモデルの重要性を強調して提示されている.スキルの獲得や学習の評価,そして練習スケジュールやフィードバックの使用といった多くの側面を研究することによるスキル獲得を促進する方法などの運動学習の概念を提供する.このような概念を理解し,実地臨床にどのように適用するかの理解を促進するために,仮想の症例を紹介し,記事の中で繰り返し提示する.


2015年6月7日日曜日

脳卒中発症後24時間以内の超早期離床(AVERT)の有効性と安全性:ランダム化比較対照試験 Lancet 2015


脳卒中発症後24時間以内の超早期離床(AVERT)の有効性と安全性:ランダム化比較対照試験





















背景 早期離床は脳卒中ユニットの治療の効果に寄与すると考えられている:しかしながら,介入内容はあまり定義されておらず,強いエビデンスによって支持されているわけではない.我々は,脳卒中後の高頻度・高用量の超早期離床の有効性を通常治療と比較することを目的とした.


方法 5ヶ国56ヶ所の急性期脳卒中ユニットで,並行群間・単盲検化・ランダム化比較対照試験を行った.初回または再発の脳梗塞または脳出血の患者(18歳以上)で,身体的条件を満たした患者をランダムに割り当てた(1:1).ランダム化にはウェブ上のコンピュータで生成したブロックランダム化手順(ブロックは6人)を用い,通常の脳卒中ユニットの治療のみを受けるか,通常治療に加えて超早期離床を行うかを決めた.rt-PAも使用は可とした.ランダム化は研究施設と脳卒中の重症度で階層化した.試験に参加した患者の効果の評価者と研究者,およびデータ管理に治療の割り当てをマスクして行った.主要評価項目は脳卒中発症3ヶ月後の予後良好とし,その定義はmodified Rankin Scale0-2とした.解析はintention-to-treat(治療企図)解析で行った.この試験はオーストラリア・ニュージーランド臨床試験登録に登録され,番号はACTRN12606000185561.


知見 2006年6月18日から2014年10月16日の間に2104人を患者を登録し,超早期離床(1054人)と通常治療(1050人)を受けるようにした.2083人(99%)の患者が3ヶ月後の追跡調査の評価を受けた.超早期離床群では965人(92%)が24時間以内に離床され,通常治療群では623人(59%)だった.予後良好の患者は超早期離床群では通常治療群より少なかった(480人[46%] vs 525人[50%];修正オッズ比0.73,95%信頼区間0.59〜0.90;p=0.004).超早期離床群では88人(8%)が死亡し,通常治療群では72%(8%)だった(オッズ比1.34,95%信頼区間0.94〜1.93;p=0.113).致死的でない重篤な有害事象は超早期離床群201人(19%),通常治療群208人(20%)で,超早期離床群で安静に関連した合併症が減少するということはなかった.

解釈 この試験ではほとんどの患者で24時間以内に最初の離床を行った.より高用量の超早期離床プロトコルは3ヶ月後の予後良好のオッズを低下させた.脳卒中後の早期離床は世界中で多くの臨床診療ガイドラインで推奨されており,我々の知見は現在のガイドラインを改良することで臨床診療に影響するはずである.しかしながら,用量と効果の関係に関する今後の研究による情報を臨床的推奨に加えるべきである.