2015年6月7日日曜日

脳卒中発症後24時間以内の超早期離床(AVERT)の有効性と安全性:ランダム化比較対照試験 Lancet 2015


脳卒中発症後24時間以内の超早期離床(AVERT)の有効性と安全性:ランダム化比較対照試験





















背景 早期離床は脳卒中ユニットの治療の効果に寄与すると考えられている:しかしながら,介入内容はあまり定義されておらず,強いエビデンスによって支持されているわけではない.我々は,脳卒中後の高頻度・高用量の超早期離床の有効性を通常治療と比較することを目的とした.


方法 5ヶ国56ヶ所の急性期脳卒中ユニットで,並行群間・単盲検化・ランダム化比較対照試験を行った.初回または再発の脳梗塞または脳出血の患者(18歳以上)で,身体的条件を満たした患者をランダムに割り当てた(1:1).ランダム化にはウェブ上のコンピュータで生成したブロックランダム化手順(ブロックは6人)を用い,通常の脳卒中ユニットの治療のみを受けるか,通常治療に加えて超早期離床を行うかを決めた.rt-PAも使用は可とした.ランダム化は研究施設と脳卒中の重症度で階層化した.試験に参加した患者の効果の評価者と研究者,およびデータ管理に治療の割り当てをマスクして行った.主要評価項目は脳卒中発症3ヶ月後の予後良好とし,その定義はmodified Rankin Scale0-2とした.解析はintention-to-treat(治療企図)解析で行った.この試験はオーストラリア・ニュージーランド臨床試験登録に登録され,番号はACTRN12606000185561.


知見 2006年6月18日から2014年10月16日の間に2104人を患者を登録し,超早期離床(1054人)と通常治療(1050人)を受けるようにした.2083人(99%)の患者が3ヶ月後の追跡調査の評価を受けた.超早期離床群では965人(92%)が24時間以内に離床され,通常治療群では623人(59%)だった.予後良好の患者は超早期離床群では通常治療群より少なかった(480人[46%] vs 525人[50%];修正オッズ比0.73,95%信頼区間0.59〜0.90;p=0.004).超早期離床群では88人(8%)が死亡し,通常治療群では72%(8%)だった(オッズ比1.34,95%信頼区間0.94〜1.93;p=0.113).致死的でない重篤な有害事象は超早期離床群201人(19%),通常治療群208人(20%)で,超早期離床群で安静に関連した合併症が減少するということはなかった.

解釈 この試験ではほとんどの患者で24時間以内に最初の離床を行った.より高用量の超早期離床プロトコルは3ヶ月後の予後良好のオッズを低下させた.脳卒中後の早期離床は世界中で多くの臨床診療ガイドラインで推奨されており,我々の知見は現在のガイドラインを改良することで臨床診療に影響するはずである.しかしながら,用量と効果の関係に関する今後の研究による情報を臨床的推奨に加えるべきである.





 脳卒中後の早期離床の他施設大規模研究である.
 超早期離床として基本的に24時間以内に坐位・立位・歩行を行うという内容であるが,結果は残念ながら,発症から3ヶ月後の機能予後は通常の脳卒中ユニットよりもむしろ悪かった.

 ただし,この結果は実は第2相試験からもある程度予測可能なものである.
 というのも,第2相試験でも統計学的に有意差がなかっただけで,超早期離床群では通常治療群よりも死亡率が2倍以上だったからである.また,第2相試験で機能予後に差が出たのは12ヶ月後の評価であり,今回の第3相多施設研究もさらに長期予後を見ると差が出る可能性がある(個人的にはその見込みは十分あると考えている).

 今回の研究では,通常治療群も比較的早期からの離床を行っていた.このような研究に参加する病院はそれなりに質の高い脳卒中ユニットの介入を行っていると考えられ,そのために有意差が出にくかった可能性もある.したがって,早期離床の意義そのものを否定するものではないことは十分注意して解釈すべきだろう.

 第2相試験についてもいずれ紹介しますので,興味があったらご覧ください.


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例:Don’t find fault, find a remedy; anybody can complain. -> Dfffarac

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