2016年8月17日水曜日

成人の脳卒中慢性期患者における痙縮に対するボツリヌス毒素注射後の理学療法 Physiother Can 2015











成人の脳卒中慢性期患者における痙縮に対するボツリヌス毒素注射後の理学療法











抄録

目的この症例報告では,脳卒中患者における下肢の痙縮を対象とした理学療法の種類と期間およびA型ボツリヌス毒素治療を記載し,歩行とバランスの改善について報告する.A型ボツリヌス毒素の筋肉内注射と理学療法を併用とした局所の痙縮に対する治療はリハビリテーションの専門家によって推奨されている.しかしながら,A型ボツリヌス毒素によって生じた化学的脱神経後の機能的効果を最適化するような理学療法の介入の最適な種類と期間は確立されていない.方法:上下肢の痙縮の対してA型ボツリヌス毒素注射を受けた患者が対象となった.理学療法介入は,45分または60分のセッションを週2回,12週行い,ボバース神経発達療法アプローチに基いて行われた.さらに,活動主体の在宅プログラムを行った.結果:A型ボツリヌス毒素注射と理学療法の後,患者はバランスと歩行速度に臨床的に有意義な改善をみとめ,歩行がより自立できた.結論:この症例報告で,A型ボツリヌス毒素注射後の理学療法は,脳卒中慢性期の痙縮の患者で,A型ボツリヌス毒素注射単独では得られないような有意な機能的改善をもたらし得ることを示した.

2016年8月13日土曜日

成人の上肢痙縮に対するabobotulinumtoxin Aの臨床試験の系統的文献レビュー Am J Phys Med Rehabil 2015










成人の上肢痙縮に対するabobotulinumtoxin Aの臨床試験の系統的文献レビュー抄録




















目的:この研究の目的は,上肢痙縮の成人患者におけるabobotulinumtoxinAの臨床試験での有効性,安全性,実地臨床での用量を解明することである.
方法:1991年1月から2013年1月まの英語で発表された成人の上肢痙縮の治療におけるabobotulinumtoxinAのランダム化比較対照試験と比較臨床研究を割り出すための系統的文献レビューを行った.医学文献データベース(PubMed,Cochrane Library,EMBASE)を検索し,合計295編の記録を確認した.これらのうち,上肢痙縮の治療のためのabobotulinumtoxinAを評価した主要な公表論文12編を最終的なデータ報告に含めた.
統合:上肢痙縮に対するabobotulinumtoxinAの用量の範囲では全体で500〜1500単位だった.上肢痙縮の研究の大半で,abobotulinumtoxinA対プラセボで統計学的に有意な効果(Ashoworth scoreに基づいた筋緊張軽減)を示した.modified Ashworth Scaleを用いた痙縮評価のほとんどで統計学的有意に達した.能動的運動や疼痛では,一貫性は低いが,統計学的に有意な効果が示された.abobotulinumtoxinAは個々の研究では全体として忍容性がよく,報告された有害事象のほとんどは治療とは無関係だった.abobotulinumtoxinAに関連するとみなされた有害事象は,倦怠感,疲労感,上肢の疼痛,皮膚の紅斑,インフルエンザ様症状,スパズムの増悪,筋力低下である.
結論:12のランダム化臨床研究から抽出したデータに基づいて,脳卒中による上肢痙縮を軽減するためのabobotulinumtoxinAの使用については,強いエビデンス(12研究中9編)があった.