急性大動脈解離に伴う発熱
背景 発熱は急性大動脈解離のありふれた症状であるが,この発熱の期間と特性について公表された報告はほとんどない.
方法と結果 発熱の平均期間を,急性大動脈解離の患者の合計57人について計算した.患者は,それから2群に分けた:発熱期間が平均より短い群(グループA)と平均より長い群(グループB)である.偽腔サイズの縮小と血液学的パラメータをグループ間で比較した.発熱の平均期間は15.9± 11日だった.偽腔サイズの縮小比はグループA群(18.3±5.0%)ではグループB(2.0±5.3%)より有意に高かった.偽腔サイズ縮小比と発熱期間の間には有意な負の相関があった.血液学的パラメータは,フィブリン分解産物(FDP)を除いて2群間で有意な違いはなかったが,白血球数,血小板数,CRPはグループBでより高い傾向があった.
結論 発熱を調べることは,急性大動脈解離の個々の症例の状態を評価する上で重要である.急性大動脈解離に伴う発熱の臨床的特性と,関連する因子を検討した研究である.
発熱期間はだいたい2週間程度で,最長で56日とされ,偽腔サイズや凝固系パラメータの推移から,偽腔内の血栓が発熱に関与している可能性があると推定された.
急性大動脈解離では,手術侵襲のみならず,神経症状の合併や周術期合併症など,感染リスクも高い症例が多い.このような症例で,感染の可能性を排除して,熱源を確定するのは容易ではない.したがって,経験的な(あるいは安易な)抗菌療法が行われていることも少なくないだろう.
臨床医にとって抗菌療法を中止するのは勇気がいるものだが,発熱について,このような病態を知っていれば,十分な検索ののちに不要の抗菌療法を減らすことができる.
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例:Imagination Means Nothing Without Doing. -> IMNWD
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