高齢患者における重症脳動脈瘤性くも膜下出血後の生存率と帰結
背景と目的−重症脳動脈瘤性くも膜下出血(aSAH)を生じた高齢患者に最大限の治療を提供すべきかどうかは議論の余地がある.aSAH後の6〜12ヶ月後におけるこのサブグループの通常の評価項目はおろか生存率も不明である.この研究の目的は,患者のこのサブグループに対して,治療についての臨床家の意思決定に役立つような生存率と帰結のデータを提供することである.
方法−我々は,2005年から2017年に当院に入院したaSAHを生じた重症(WFNS分類ⅣとⅤ)高齢患者(年齢60歳以上)についてのBernese SAHデータベースの後方視的分析を行った.患者を3つの年齢グループ(60-69歳,70-79歳,80-90歳)に分けた.生存率分析は平均生存率と死亡に対するハザード比を推定するために行った.二元対数回帰を用いて,予後良好(modified Rankin Scaleスコア0-3)と予後不良(modified Rankin Scaleスコア4-6)についてのオッズ比を推定した.
結果−年齢が高齢であることは,aSAH後の死亡のリスク増大と関連した.年齢が1年上がるごとにハザード比は6%増大し(P<0.001;ハザード比1.06;95%信頼区間1.03-1.09),10年ごとに76%増大した(P<0.001;ハザード比1.76;95%信頼区間1.35-2.29).平均生存期間は56.3±8ヶ月(60-69歳の患者),31.6±7.6ヶ月(70-79歳の患者),7.6±5.8ヶ月(80-90歳の患者)だった.aSAH後の6-12ヶ月後の予後不良は高齢と強く相関した.オッズ比は年齢1歳ごとに11%(P<0.001;オッズ比1.11;95%信頼区間1.05-1.18),10歳ごとに192%(P<0.001;オッズ比2.92;95%信頼区間1.63-5.26)増大した.
結論−重症aSAHの高齢患者では,死亡と予後不良のリスクは年齢が高齢であると顕著に増大した.初期の死亡率が高いにも関わらず,治療hは79歳までは予後良好と理にかなった割合となった.aSAH後6-12ヶ月後に中等度から重度の障害の患者は少数だった.平均生存期間と予後良好の割合は.80歳以上の患者では顕著に減少した.