2019年2月5日火曜日

脳血管イベント後の交通事故のリスクの増大 Stroke2018

脳血管イベント後の交通事故のリスクの増大
背景と目的−我々は,脳血管イベント後の自動車衝突事故の長期リスクと,左半球イベントあるいは右半球イベント後にリスクが同等かどうかを判定することを目的とした.
方法−我々は,カナダ,オンタリオ州で2003から2013年に一過性脳虚血発作または脳卒中(脳出血または脳梗塞)と診断された患者を判別するための集団ベースのレジストリを用いた.片側大脳半球の左右は放射線学的所見と臨床所見を用いて決定した.我々は,連結した行政データを用いて患者がドライバーとして巻き込まれた発症後の重篤な外傷を見つけた.二次評価項目は,患者が歩行者として,あるいは同乗者として巻き込まれた重篤な外傷,または他の外傷イベント(転倒,骨折,足関節捻挫)を含めた.我々は,死亡を競合リスクとして検討した比例ハザードモデルを用いて,片側大脳半球と評価項目の関連性を,年齢・性別・退院時mRSスコア,家の場所,病前の運転歴の調整ありと調整なしで検定した.患者は2017年まで追跡した.
結果−片側大脳半球の脳血管イベントの患者26144人のうち,平均6.4人−年の追跡期間で,ドライバーとして続発する重篤な交通外傷377件(2.2/1000人−年)をみとめた.この割合は左右では差がなかった(調整ハザード比1.00; 95%信頼区間0.82-1.23).歩行者としての重篤な交通外傷のリスクは右側のイベントでは左側のイベントよりも有意に高かった(調整ハザード比1.27; 95%信頼区間1.02-1.58).他の交通外傷のイベント後のリスクは脳血管イベントの左右では差がなかった.
結論−歩行者としての重篤な交通外傷のリスクは右大脳半球イベント後には左側のイベントと比べてかなり高かった.歩行は脳卒中や一過性脳虚血発作の生存者における運動として推奨されるべきだが,このような交通弱者は安全性を最適化するための脳卒中後リハビリテーションから恩恵を受けるかもしれない.

 脳卒中後の患者の交通事故のリスクを,ドライバーとしてのリスクおよび歩行者としてのリスクについて,さらに病変の左右での違いについて検討した研究である.

 ドライバーとしてのリスクは全人口よりは多かったが,病変の左右では差が出なかった.そもそも運転が許可されていない患者はこのデータには反映されないことも影響しているかもしれない.

 歩行者としてのリスクは右半球病変の患者では高い結果が出た.無視や病態失認といった症状が影響している可能性があり,このような患者さんにどうやって外出を許可するのか,あるいは事故を減らすにはどのような訓練が有効かというのは今後の課題である.

日本語訳はこちらから入手できます(パスワードは論文タイトルの頭文字をつなげてください.大文字と小文字を区別して10文字目まで).
例:A Wise Man Will Make More Opportunities Than He Finds. -> AWMWMMOTHF

0 件のコメント:

コメントを投稿