2020年8月1日土曜日

脳梗塞の亜急性期および慢性期に対する神経幹細胞療法 Stem Cell Res Ther 2018


脳梗塞の亜急性期および慢性期に対する神経幹細胞療法





















抄録

 神経幹細胞は,脳の恒常性に重要な役割を果たし,神経血管損傷後に幅広いレパートリーの有望な治療的作用を示す.このような損傷に脳卒中があり,全世界で死亡と障害の筆頭原因である.臨床的に,脳梗塞の広範囲の損傷は,虚血–再環流から生じ,これは炎症,血管脳関門のダメージ,神経細胞死,広範囲の組織の喪失を伴う.組織プラスミノーゲン活性化因子(tissue plasminogen activator;tPA)は未だに,米国食品医薬品局が承認した唯一の血栓溶解剤である.血管内でのtPAの血栓溶解の役割は有効ではあるが,脳実質内でのtPAの効果(血栓溶解以外の意義において)は有害として報告されてきた.したがって,新しい治療は,tPAの有害な副作用を軽減し,迅速に脳卒中後の血管修復を促すことが必要である.Stroke Treatment Academic Industry Roundtable(STAIR)は,脳卒中の治療は“複数の機序の作用のある薬剤/機器/治療を重視し,複数の経路をターゲットとしている”ことを推奨している.それゆえ,様々な脳卒中のステージにおける多因子的な虚血のカスケードに基づいて,有効な脳卒中の治療には,虚血–再環流の損傷を標的として軽減することと,さらに,脳卒中後の血管新生,神経新生,神経修復の機序を促進することが必要である.このレビューでは,神経血管損傷に対する有望な治療としての神経幹細胞移植の臨床前の展望を議論し,脳梗塞の亜急性期と慢性期の両方に着目する.


 脳梗塞に対する幹細胞療法の知見をまとめたレビューである.
 脳梗塞急性期では虚血による組織損傷に,再還流障害や炎症による二次的な損傷も加わった複合的な病態を呈する.

 幹細胞移植は,急性期に血液脳関門の保護や抗炎症作用,そして血管新生によって組織保護が主体となる.脳梗塞急性期の損傷部位は,神経幹細胞が生存して分化するには環境が整っていないようだ.

 一方,慢性期においては,血管新生とそれによる神経栄養因子の増加,そして幹細胞から分化した神経細胞によるニューロンの置換が機能改善に寄与すると考えられている.

本文はこちらから入手できます.
日本語訳はこちら(パスワードは文献タイトルの単語の頭文字をつなげてください.大文字・小文字を区別して10文字目まで).
例:Often you have to rely on intuition. -> Oyhtroi

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