2021年9月20日月曜日

脳卒中後けいれんの治療のための抗てんかん薬のランダム化比較対照試験:ネットワークメタ解析でのシステマティックレビュー Seizure 2018

 









脳卒中後けいれんの治療のための抗てんかん薬のランダム化比較対照試験:ネットワークメタ解析でのシステマティックレビュー











目的:脳卒中後のけいれんやてんかんを治療するために用いられる抗てんかん薬の有効性と忍容性に関する最良の参照可能なエビデンスを決定すること.
方法:MEDLINE,Embase,CENTRAL,ClinicalTrials.gov.およびOpengrey.euで,脳卒中後てんかんを治療するために用いられる抗てんかん薬のランダム化比較対照試験について検索した.以下の評価項目を検討した:無発作;有害作用の発生;有害作用による中止.方法論的な質は,the Cocherane Handbook for Systematic Reviews of Interventionsにしたがって評価した.共通の比較対象としてカルバマゼピン徐放製剤(CR-CBZ)を用いて,各抗てんかん薬の間で
調整間接比較を行った.
結果:対象となったランダム化比較対照試験は2篇だけであり,1篇はレベチラセタム(LEV)とCR-CBZを比較し,他方はラモトリギン(LTG)をCR-CBZと比較した.LEVまたはLTGはCR-CBZと比較して,無発作において有意差はみとめなかった.有害作用の発生は,LEVおよびLTGではCR-CBZと比べて少なかった.間接比較では,無発作に関して,LEVとLTGの間に差は示されなかった(オッズ比0.86;95%m信頼区間0.15-4.89).有害作用の発生は,LEVではLTGよりも多かった(オッズ比6.87;95%信頼区間1.15-41.1).有害作用による中止については,得られたオッズ比10.8に,幅広く非対称な信頼区間をみとめた(95%信頼区間0.78-149.71).
結論:種々の抗てんかん薬の間に,直接比較・間接比較から無発作においては差がみとめられなかった.恐らくは対象とした患者数が少ないためだろう.LEVとLTGはCR-CBZよりも忍容性が良好と思われ,LEVはLTGよりも有害作用を伴うようである.脳卒中後てんかんを治療するための抗てんかん薬の有効性と忍容性の強固なエビデンスを提供するためにさらなる研究が必要である.
 脳卒中後の症候性てんかんに対する抗てんかん薬に関するメタ解析である.
 脳卒中後のてんかんは比較的よくある合併症であるが,質の高い臨床研究は意外に少なく,このメタ解析で対象になったのは2篇だけである.

 カルバマゼピンと比べ,新規抗てんかん薬(レベチラセタム,ラモトリギン)は安全性が高いが,有効性には大きな違いはないという結論である.
 レベチラセタムとラモトリギンでは,ラモトリギンの方が安全性が高いという結果になったが,観察方法の違いの影響も考察していることを付け加えておく.

 いずれにしても,この領域はまだまだ質の高い研究が少ないようだ.抗てんかん薬は新しい薬が登場してきており,今後の研究が待たれる.

本文はこちらから入手できます.
日本語訳はこちら(パスワードは論文タイトルの単語の頭文字をつなげてください.大文字と小文字は区別して,記号は除いて10文字目まで).
:No man will make a great leader who wants to do it all himself or get all the credit for doing it. ->Nmwmaglwwt

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