反復経頭蓋磁気刺激:咽頭嚥下障害を治療するための新しいアプローチ
抄録 近年,反復経頭蓋磁気刺激は,ヒトの中枢神経刺激を生じさせるために用いられる技術であり,ますます関心を集めるようになり,嚥下障害の治療において実験的に適用されてきた.このレビューでは,嚥下障害に関する反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の応用に関する現時点での研究の概要を提示する.ここで,我々は,rTMSの効果の基礎となる機序と,健常被験者と嚥下障害の患者の両方のおける研究からの結果をレビューする.嚥下障害に関する臨床研究は,主に脳卒中後の嚥下障害に着目されてきた.我々は,研究間の大きな違いのために,この神経刺激法の有効性についての結論を導くことがなぜ難しいかを議論する.ここで関心の対象となっているのは,嚥下障害のリハビリテーションについての実地診療への移行に先立って,嚥下障害の患者に対するrTMSの応用についてまだ研究されていない潜在的な研究上の疑問を刺激することである.