シロスタゾールは経管栄養を受けている患者における脳卒中関連肺炎を予防するのに有効である
抄録
脳卒中関連肺炎は,脳梗塞急性期の患者,とりわけ経管栄養を受けている患者では頻度の高い合併症である.この前方視的研究で,我々は,抗血小板作用と血管新生作用のある多能性のホスホジエステラーゼⅢ特異的抑制剤,シロスタゾールがこのような患者で脳卒中関連肺炎を予防して,ICUの在室日数や在院日数を減少させるかどうかを調査した.我々は,経管栄養を受けている脳梗塞患者158人を採用した.患者の特性(年齢,性別,既往歴を含む),National Institute of Helath Stroke Scale,入院時の血清アルブミン濃度,脳卒中関連肺炎の予防にともなる併用薬剤(シロスタゾールを含む),脳卒中の特性(両側皮質下白質病変,脳幹を含むこと,広範梗塞,無症候性出血性梗塞)を,脳卒中関連肺炎ありとなしのグループ間で比較した.シロスタゾールは脳卒中関連肺炎なしの患者でより高頻度に使用されていた(20.8%対6.1%, p<0.05).ICUの在室期間は,脳卒中感関連肺炎ありの患者ではより長かった(9±8対6±6日,p<0.05).しかしながら,ICUの在室期間と入院期間はシロスタゾールによる脳卒中関連肺炎の予防によって減少しなかった.シロスタゾール投与は,経管栄養を受けている脳卒中急性期における脳卒中関連肺炎の減少と関連した.