2022年9月23日金曜日

シロスタゾールは経管栄養を受けている患者における脳卒中関連肺炎を予防するのに有効である Dysphagia 2018

















シロスタゾールは経管栄養を受けている患者における脳卒中関連肺炎を予防するのに有効である


抄録

脳卒中関連肺炎は,脳梗塞急性期の患者,とりわけ経管栄養を受けている患者では頻度の高い合併症である.この前方視的研究で,我々は,抗血小板作用と血管新生作用のある多能性のホスホジエステラーゼⅢ特異的抑制剤,シロスタゾールがこのような患者で脳卒中関連肺炎を予防して,ICUの在室日数や在院日数を減少させるかどうかを調査した.我々は,経管栄養を受けている脳梗塞患者158人を採用した.患者の特性(年齢,性別,既往歴を含む),National Institute of Helath Stroke Scale,入院時の血清アルブミン濃度,脳卒中関連肺炎の予防にともなる併用薬剤(シロスタゾールを含む),脳卒中の特性(両側皮質下白質病変,脳幹を含むこと,広範梗塞,無症候性出血性梗塞)を,脳卒中関連肺炎ありとなしのグループ間で比較した.シロスタゾールは脳卒中関連肺炎なしの患者でより高頻度に使用されていた(20.8%対6.1%, p<0.05).ICUの在室期間は,脳卒中感関連肺炎ありの患者ではより長かった(9±8対6±6日,p<0.05).しかしながら,ICUの在室期間と入院期間はシロスタゾールによる脳卒中関連肺炎の予防によって減少しなかった.シロスタゾール投与は,経管栄養を受けている脳卒中急性期における脳卒中関連肺炎の減少と関連した.

 シロスタゾールの経管栄養中の脳梗塞患者の肺炎予防に関する研究である.
 シロスタゾールの肺炎予防効果は比較的よく知られていると思われるが,経管栄養に絞った研究は行われていないと思われるので,その点では意味のある研究である.

 この研究では,肺炎を生じた患者ではシロスタゾールの服用率が低かったが,シロスタゾールはICUの在室期間/入院日数を短縮しなかった.また,肺炎はICUの在室機関が長くなったが,入院期間には影響がなかった.しかし,これは日本の特有の医療制度,つまり,状態が安定すれば回復期リハ病棟などに転院するからであって,患者の機能予後や生命予後に影響がなかったことは必ずしも意味しないだろう.

 この研究は急性期であるが,亜急性期や慢性期で肺炎予防を検証した研究は意外と少ない.今後も新しい研究に期待したい.

本文はこちらから入手できます.
日本語訳はこちら(パスワードは論文タイトルの単語の頭文字をつなげてください.大文字と小文字は区別して,記号は覗いて10文字目まで).
例:Hope for the Best, but Prepare for the Worst.  -> HftBbPftW

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