抄録.脳卒中に由来する障害は永続的な歩行の困難を引き起こす.そのために,歩行能力の改善は,脳卒中後に生存した患者にとって最優先課題の一つである.脳卒中後の歩行が改善する程度は,初期の歩行能力の障害と,患者の下肢の重症度の両方に関連する.しかしながら,重度運動麻痺があり,顕著な皮質脊髄路の破綻のある患者の中でも歩行能力を回復する者もいる.近年,交互歩行の訓練を提供することによる重度片麻痺の脳卒中患者における歩行能力の改善を記載した症例報告がいくつかある.複数の研究で,歩行訓練が,脊髄損傷の患者において麻痺した下肢に“歩行運動様”の協調的筋活動を生じさせることができることが示された.このレビューでは,我々は,歩行の神経機序を議論し,それから重度片麻痺の脳卒中患者における歩行能力の修復に関する症例報告をレビューする.
脳卒中後の重度下肢麻痺に対する長下肢装具での歩行訓練の解説である.
歩行能力の獲得が,必ずしも下肢の随意運動の回復によらないことは,臨床家であれば経験したことがあると思われる.
このレビューでは,荷重をかけることと,両脚の交互歩行運動を行うことによって,麻痺した下肢に歩行と同様の筋活動パターンが生じるとしており,そのためのツールとして長下肢装具の有用性を解説している.
実際,長下肢での訓練が盛んになる前と比べて,揃え型で歩く片麻痺の方は少なくなった,というより,ほとんど見なくなったといっても良いくらいである.
これは,早期からのリハ開始や,回復期リハ病棟での高強度リハの効果もあると思われるが,長下肢での歩行訓練の寄与はかなりあるように感じられる.
現在のところ,脳卒中に対する長下肢装具での歩行訓練に関する報告がほとんど日本国内からのもののようだ.これも少々不思議であるが,初期には訓練自体が2人がかりになることもあり,そのあたりが海外では問題なのかもしれない.
本文はこちらから入手できます.
日本語訳はこちら(パスワードは文献タイトルの単語の頭文字をつなげてください.大文字と小文字は区別して,記号は除いて10文字目まで).
例:Courage is Resistance to Fear, Mastery of Fear – Not Absence of Fear. -> CiRtFMoFNA
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