目的:機能的歩行能力と日常生活動作(ADL)に対する長下肢装具の有効性に関する症例報告から参照可能なエビデンスを統合すること.
方法:Population母集団 Intervention介入 Comparison比較 Outcome結果(PICO)モデルに基づいて,以下のデータベースを検索した.PubMed,CINAHL,Scopus,Coch- rane Central Register of Controlled Trials,PEDro,Web of Science,医学中央雑誌.方法論的質はCAREチェックリストを用いて評価した.
結果:15症例を含む合計14編の記事が選択された.機能的歩行能力に臨床的に意味のある改善が報告されたのは15症例中10症例で,使用された評価法は,Functional Ambulatory Category機能的歩行分類,Trunk Control Test,歩行速度,Berg Balance Scaleだった.ADLに臨床的に意味のある改善が報告されたのは15症例中9症例で,使用された評価法はBarthel Index,Functional Independence Measureだった.しかしながら,レビューされた記事の方法論的質は低く,治療の限界,有害事象,患者の報告による評価の情報がなかった.
結論:この症例報告のシステマティックレビューから,機能的歩行能力とADLにおける改善に関して,長下肢装具の有効性の低いレベルのエビデンスがみとめられた.この研究から,長下肢装具の有効性を測定するための最適な結果が示されたことは有意義なことである.
長下肢装具の症例報告をまとめたレビューである.
すでに国内では脳卒中リハの歩行訓練として日常的に使用されていると思われるが,以外に英文の報告は少なく,しかもすべて日本からの報告である.この事実だけを見るとローカルな治療法という印象を受けるかもしれない.
このレビューでは,急性期の症例7例,亜急性期(回復期2例),慢性期6例が紹介されており,訓練の効果や方法について結論めいたことが記載されているわけではなく,それぞれの時期における適切な評価について考察するにとどめている.
個人的には,早期から長下肢装具での積極的な立位・歩行訓練を行うことで,歩行獲得までの期間の短縮が得られ,長期的に見て交互歩行を獲得できる割合が昔に比べて格段に上がっていると感じられる.もちろん,15年前や20年前に比べると,リハの手法だけでなく,単純に訓練時間も増えているので,装具だけの効果とは言い切れないが,この辺りも検証して欲しいものである.もっとも国内では今となってはランダム化比較試験は難しいかもしれないが.
本文はこちらか入手できます.
日本語訳はこちら(パスワードは文献タイトルの頭文字をつなげてください.大文字と小文字は区別して記号は除いて10文字目まで)
例:Indecision is Often Worse Than Wrong Action. -> IiOWTWA
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