回復期脳卒中患者における機能的電気刺激の効果:多施設ランダム化比較対照試験
抄録:背景:我々はWalkAide®︎が,下垂足のある脳卒中後の患者の歩行能力と下肢機能を有効に改善することができるかどうかを評価した.患者は20〜80歳で,初回脳卒中から6ヶ月以内で,機能的歩行分類3または4を候補とした.対象と方法:患者は,1:1の比でランダムに機能的電気刺激(FES; Functional Electrical Stimulation)と対照群に割り付けられた.FES群では,WalkAideを用いた40分の訓練プログラムを,週5回,8週間追加した.対照群はFESのない40分の訓練プログラムを行なった.結果:合計203人の患者がFES群(102人)と対照群(101人)に割り付けられた.介入を受けられなかったり,データが利用できなかったりした患者は除外した.最終的に,184人の患者(各群92人)を解析した.6分間歩行の最大距離(主要評価項目)は,FES群では68.37±62.42m,対称群では57.50±68.17mだった(差:10.86m;95%信頼区間-8.26〜29.98, p=0.26).結論:日本人の下垂足のある脳卒中後の患者では,回復期において,FESは6分間歩行距離を有意に改善しなかった.
物療の機器の臨床研究でこれだけ大規模な多施設はかなり珍しいと思われる.国内では最大規模の研究といっても良いだろう.その点だけでも敬意を表したい.
結果は残念ながら,WalkAideは歩行速度などのパラメータに関して関して短下肢装具より優位性を示せなかった.良好だったのは,能動的足関節背屈角度,患者自身の評価,裸足での歩行解析だった.元々,WalkAideは治療用機器ではなく,装具の代替品として開発された機器なので,この点に関してはむしろ当然の結果で,装具に対して非劣性が確認できたことは意味がある結果とも言える.
個人的には,有意差のあった項目のうち,能動的足関節背屈と裸足での歩行解析は意味があると考えている.
私自身も自施設でWalkAideの検討を行ったことがあったが,WalkAideを使うと装具の作成が少なく,かつ足関節継手付き装具が増えたと記憶している.単施設だったので患者数が少なかったことと,患者の重症度や左右に差があったこともあって,多因子解析すると有意にはならなかったが,WalkAideでの訓練は装具作成を回避できる可能性があると期待している.
これだけ大規模な研究のデータなので,二次解析の結果に期待している.
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日本語訳はこちら(パスワードは文献タイトルの単語の頭文字をつなげてください.大文字・小文字を区別して記号は除いて10文字目まで).
例:You Can Disagree without Being Disagreeable. -> YCDwBD
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