2015年12月3日木曜日

脳卒中リハビリテーションにおけるWiiゲームを用いた仮想現実の有効性 予備的ランダム化臨床試験と原理の証明 Stroke 2010

脳卒中リハビリテーションにおけるWiiゲームを用いた仮想現実の有効性
予備的ランダム化臨床試験と原理の証明

背景と目的−上肢の機能制限を引き起こす片麻痺は脳卒中患者ではよく見られる.すでに存在するエビデンスでは脳卒中でリハ治療の強度を上げると運動回復がより良好であることが示唆されているけれども,脳卒中リハにおける仮想現実の有効性については参考になるエビデンスは限られている.
方法−この予備的ランダム化単盲検化臨床試験では発症から2ヶ月以内の脳卒中患者での2つの並行群間で,上肢の運動改善を評価するために標準的なリハビリテーションを受けている患者で任天堂Wiiを用いた仮想現実の有効性をレクリエーション療法(カード,ビンゴ,ジェンガ)と比較し,実行可能性,安全性,有効性を評価した.実行可能性の主要評価項目は介入を受けた時間の総和である.安全性の使用評価項目は研究期間中の介入に関連した有害事象を生じた患者の割合である.有効性は二次評価項目であるが,介入から4週後のWolf Motor Functional Test,Box and Block Test,Stroke Impact Scaleで評価した.
結果−全体として,スクリーニングされた患者の110人中22人(20%)がランダム化された.平均年齢(範囲)は61.3歳(41〜83歳).訓練セッション後,参加者2人が脱落した.介入がうまく実行できた患者はWii群では10人中9人,上肢のレクリエーション療法群では10人中8人だった.総セッション時間の平均はレクリエーション治療群では388分に対しWii版では364分だった(P=0.75).両群とも重篤な有害事象はなかった.レクレーション療法群と比べて.Wii群の参加者は,7秒間の運動機能の平均が,年齢,機能状態の基礎値(Wolf Motor Function Test),脳卒中重症度を調整しても有意に改善していた(Wolf Motor Function Test, 7.4秒;95%信頼区間−14.5〜−ー0.2).

結論−仮想現実の初ゲーム機は安全で実行可能であり,脳卒中後のリハ治療を促進し,運動回復を促すための有効な代替手段として有望である.


 Wiiを用いた上肢のリハの研究である.
 ゲームの技術はどんどん進歩しており,有効に使えばよいリハツールになる可能性がある.この研究は少し古いものだが,最近ではレビューも書かれるようになっているようだ.

 論文中でも説明されている通り,ゲーム機では動作が画面上に反映され,リアルタイムフィードバックが可能であり,難易度設定が容易である.何より,飽きさせないでリハに取り組むことができるだろう.

 この研究は予備研究ではあるが,結果はまずまず概ね狙った通りと言えるだろう.つまり,Wiiは訓練として使えるツールであり,効果も期待できる,というものである.

 ただ,ここで私が言いたいのは,だからリハにゲーム機を使おう,ということではない.
 機械ができることはヒトから機械に取って代わられるというのは歴史が証明している.最近,よく見る”将来なくなる職業”にセラピストが入らないように,ゲーム機を超えた効果を出せるセラピスト.機械を有効に使いこなせるセラピストを目指す必要がある.

本文はここから入手できます.
日本語訳はこちら(パスワードは論文タイトルの単語の頭文字をつなげてください.大文字・小文字は区別して10文字目まで).
例) Do your best and leave the rest to Providence. -> DybaltrtP

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