2016年12月2日金曜日

脳卒中早期の痙縮におけるA型ボツリヌス毒素療法:より幅広い治療手段の提供 Int J Neurorehablitation 2016






脳卒中早期の痙縮におけるA型ボツリヌス毒素療法:より幅広い治療手段の提供






抄録
 痙縮の治療のためにA型ボツリヌス毒素を使用することは何年にもわたって確立されており,最近では脳卒中慢性期の患者における第一選択の治療と考えられている.その有望な効果をもって,ボツリヌス毒素は今や種々の神経筋の障害や生化学的な障害,拘縮予防,ジストニア,連合反応,疼痛を治療する目的で,脳卒中後の痙縮を治療できるような早期の神経リハビリテーションと併用される.個別的な理学療法単独と対比した,脳卒中の早期リハビリテーションの補助療法としてのボツリヌス毒素の効果は,リハビリテーション治療におけるもう1つの包括的治療手段を示唆するための,このレビューにおける良い例である.

 脳卒中後のボツリヌス毒素療法を早期に行った方が効果的であるというレビューである.
 
 痙縮は単純な筋緊張の亢進だけでなく,時間経過とともに筋の短縮や関節周囲組織の線維化などの変化を生じていく.このような変化が生じてしまうと,ボツリヌス毒素療法を行っても,十分な効果は得られない.
 こういった二次的な変化は筋緊張亢進に引き続いて起きるのであるから,そうなる前に治療を開始するのは理にかなった考え方と言える.

 もう1つ重要な点は,痙性恐縮や痙性ジストニアといった運動に伴う筋過活動を抑制することで,分離運動を行いやすくできるのではないかということである.このレビューでは,このような効果を「神経リハの治療ウィンドウを開く」と表現している.有望な方法と思われるが,現状は十分に証明されているとは言い難い.今後の課題である.

論文本文はこちらから入手できます.
日本語訳はこちら(パスワードは論文タイトルの単語の頭文字をつなげてください.大文字・小文字は区別して,記号は除いて10文字目まで)
例:It Always Seems Impossible Until It’s Done. -> IASIUID

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