2017年4月3日月曜日

脳卒中後の気管切開患者における咽頭・喉頭運動へのカニューレ抜去の影響  Ann Rehabil Med 2012

脳卒中後の気管切開患者における咽頭・喉頭運動へのカニューレ抜去の影響












目的 嚥下造影検査の定量解析によって,嚥下中の舌骨と喉頭の運動に対する気管切開チューブの影響を調べること.
方法 気管切開のある成人脳卒中患者19人で,参加したカニューレ抜去の基準を満たした症例.カニューレ抜去の14日前,抜去前24時間以内,抜去後24時間以内,抜去から14日間後に,嚥下造影検査を行った.咽頭通過時間,stage transition duration,最大舌骨運動,最大喉頭隆起運動といった運動学的パラメータは嚥下造影検査の二次元解析から得た.
結果 咽頭通過時間とstage transition durationはすべての時間で有意な変化はなかった.カニューレ抜去直後の最大舌骨運動と最大喉頭隆起は,カニューレ抜去直前と比べ有意に改善し(p<0.05),とくに垂直運動が有意だった.
結論 嚥下中の気管切開チューブが舌骨と喉頭の運動を阻害するという仮説が,この研究で支持されたかもしれない.


 気管切開カニューレ抜去前後の嚥下機能の変化を嚥下造影から運動学的指標で検討した研究である.結果は,喉頭や舌骨の運動が改善し,気管切開は軟部組織の癒着などにより,喉頭挙上を制限するだろうという従来の見解が裏付けられた形である.

 もっとも,嚥下機能のスケールでは変化が確認できず,このような運動学的な影響が臨床的にどの程度の価値があるかは未知数な部分もある.
 実際,気管切開があっても,嚥下リハが順調に進むこともあるし,むしろサクションが確実でその際に誤嚥の有無を確認できること,窒息のリスクが極めて小さいことから,思い切った進め方ができる場合もある.

 このあたりも含めた嚥下との関係についてはまだまだ不明な点が多く,今後の研究が待たれる.

本文はこちらから入手できます.
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例:One Today is Worth Two Tomorrow. -> OTiWTT

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