2017年6月23日金曜日

成人における脳卒中後の神経学的障害の機能回復におけるリハビリテーション治療の中枢の役割についての現在の話題と考察 J Med Life 2014

成人における脳卒中後の神経学的障害の機能回復におけるリハビリテーション治療の中枢の役割についての現在の話題と考察
 







抄録

よく組織化された脳卒中後の急性期および中間期のリハビリテーションは,患者に最良の機能的結果を提供できる.脳卒中後の移動再獲得に関して推奨に大きな変更をもたらすような研究がいくつかある.早期の立位での離床やトレッドミル上の部分免荷や“歩行訓練”システムでの訓練を含む比較対照試験からは,従来の治療戦略と比べて優位な結果が示された.脳卒中後の痙縮や尖足,膝硬直パターンの症例では,A型ボツリヌス毒素やキャスティングが,立脚期の適切な足関節のアライメントを可能にし,制限があるときには遊脚期の関節の可動性の改善が得られる.

2017年6月18日日曜日

脳卒中患者の運転再開におけるサポート:患者の調査と運転シミュレータの試験 Int J Gen Med 2011








脳卒中患者の運転再開におけるサポート:患者の調査と運転シミュレータの試験




















背景:脳卒中患者が運転を再開することを奨励することは,地域への再統合を促進するために重要である.この点においては限られたリハビリテーションしか行われてこなかった.それは一部の医療職に具体的な知識がないからである.運転再開を希望する脳卒中患者のために,有効なサポートを確立するために,我々は運転シミュレータを用いて医療職による包括的訓練を提案する.
方法:東京都リハビリテーション病院に入院した脳卒中患者の調査を最初に行なった.質問票を525人の患者に送った.回答のあった218人のうち,脳卒中前に運転していた118人の患者の回答を解析した.脳卒中患者の80%以上が,入院中に運転再開について十分な情報を得ておらず,38.1%の患者がシミュレータでの運転訓練を受けられたらよかったと回答した.これらの結果から,我々は,現実的で先進技術の運転シミュレータを用いた運転訓練の効果を判定することに着手した.24人の脳卒中患者と20人の健常コントロールがこの研究の対象となった.
結果:シミュレータでの反復訓練は,ブレーキ能力を向上させ,運転能力の改善をもたらせた.精神的・身体的に自動車を運転する能力を有する脳卒中患者の大多数は,訓練プログラムの結果,運転を再開できると評価される経口であった.
結論:この研究から,医療職による包括的サポートと運転再開や運転シミュレータでの訓練の機会についての適切な情報の提供により,脳卒中患者の運転再開の一助となり,それゆえ,患者のリハビリテーションや社会的再統合を促進すると思われた.

2017年6月10日土曜日

気管内挿管後の嚥下障害の発生率 系統的レビュー CHEST2010


気管内挿管後の嚥下障害の発生率
系統的レビュー
















入院患者は,長期に及んだ気管内挿管後にしばしば口腔咽頭の嚥下障害のリスクが増大する.報告されている発生率は高いかもしれないが,幅が大きい.我々は,以下を判定するための系統的レビューを行った:(1)気管内挿管後の嚥下障害の発生率,(2)嚥下障害と挿管期間の関連性,(3)嚥下障害と関連する患者の特徴.14の電子データベースを検索し,キーワードには,dysphagia(嚥下障害)deglutition disorders(嚥下の障害)intubation(挿管)を用いて,雑誌と灰色文献(註:一般に出版されない政府・企業・学術期間の文書)にそって検索した.2人の研究者が,互いに盲検化されて,我々の対象基準にしたがって,すべての段階で,文献を選択し,レビューした.対象基準は以下の通り:挿管された成人患者で嚥下障害の臨床評価をされた患者.除外基準はケースシリーズ(10人未満),嚥下障害の検出が患者の報告,気管切開の患者,食道の嚥下障害,嚥下障害の原因となりうる疾患.批判的評価にはCochraneのバイアスのリスク評価と推奨・判定・開発・測定ツールのグレーディングを用いた.全部で1489編の引用が見つかり,そのうち288編の記事をレビューして,14編が対象基準に合致した.研究は,デザイン,嚥下評価,研究の評価法において不均一だった;それゆえ,我々は,知見を記述的に記載した.嚥下障害の頻度は3%から62%で,挿管期間の平均は124.8時間から346.6時間だった.嚥下障害がもっとも高頻度(62%,56%,51%)だったのは,長い挿管後に生じており,すべての診断サブタイプの患者を含んでいた.すべての研究がデザインとバイアスのリスクの限界があった.エビデンスの全体的な質はとても低かった.このレビューでは,挿管後の嚥下障害について参照可能なエビデンスは乏しく,したがって,質の高い前向き研究が必要なことが確認された.