脳卒中患者の運転再開におけるサポート:患者の調査と運転シミュレータの試験
背景:脳卒中患者が運転を再開することを奨励することは,地域への再統合を促進するために重要である.この点においては限られたリハビリテーションしか行われてこなかった.それは一部の医療職に具体的な知識がないからである.運転再開を希望する脳卒中患者のために,有効なサポートを確立するために,我々は運転シミュレータを用いて医療職による包括的訓練を提案する.
方法:東京都リハビリテーション病院に入院した脳卒中患者の調査を最初に行なった.質問票を525人の患者に送った.回答のあった218人のうち,脳卒中前に運転していた118人の患者の回答を解析した.脳卒中患者の80%以上が,入院中に運転再開について十分な情報を得ておらず,38.1%の患者がシミュレータでの運転訓練を受けられたらよかったと回答した.これらの結果から,我々は,現実的で先進技術の運転シミュレータを用いた運転訓練の効果を判定することに着手した.24人の脳卒中患者と20人の健常コントロールがこの研究の対象となった.
結果:シミュレータでの反復訓練は,ブレーキ能力を向上させ,運転能力の改善をもたらせた.精神的・身体的に自動車を運転する能力を有する脳卒中患者の大多数は,訓練プログラムの結果,運転を再開できると評価される経口であった.
結論:この研究から,医療職による包括的サポートと運転再開や運転シミュレータでの訓練の機会についての適切な情報の提供により,脳卒中患者の運転再開の一助となり,それゆえ,患者のリハビリテーションや社会的再統合を促進すると思われた.