2017年6月18日日曜日

脳卒中患者の運転再開におけるサポート:患者の調査と運転シミュレータの試験 Int J Gen Med 2011








脳卒中患者の運転再開におけるサポート:患者の調査と運転シミュレータの試験




















背景:脳卒中患者が運転を再開することを奨励することは,地域への再統合を促進するために重要である.この点においては限られたリハビリテーションしか行われてこなかった.それは一部の医療職に具体的な知識がないからである.運転再開を希望する脳卒中患者のために,有効なサポートを確立するために,我々は運転シミュレータを用いて医療職による包括的訓練を提案する.
方法:東京都リハビリテーション病院に入院した脳卒中患者の調査を最初に行なった.質問票を525人の患者に送った.回答のあった218人のうち,脳卒中前に運転していた118人の患者の回答を解析した.脳卒中患者の80%以上が,入院中に運転再開について十分な情報を得ておらず,38.1%の患者がシミュレータでの運転訓練を受けられたらよかったと回答した.これらの結果から,我々は,現実的で先進技術の運転シミュレータを用いた運転訓練の効果を判定することに着手した.24人の脳卒中患者と20人の健常コントロールがこの研究の対象となった.
結果:シミュレータでの反復訓練は,ブレーキ能力を向上させ,運転能力の改善をもたらせた.精神的・身体的に自動車を運転する能力を有する脳卒中患者の大多数は,訓練プログラムの結果,運転を再開できると評価される経口であった.
結論:この研究から,医療職による包括的サポートと運転再開や運転シミュレータでの訓練の機会についての適切な情報の提供により,脳卒中患者の運転再開の一助となり,それゆえ,患者のリハビリテーションや社会的再統合を促進すると思われた.

 脳卒中患者の自動車運転についての調査とシミュレータでの訓練の効果についての研究.我が国の研究である.

 運転再開について十分な情報が患者さんに提供されていないというのは,まったくその通りだと思われるが,そもそも十分な情報が存在しないという事情もある.
 つまり,運転再開に向けて必要な評価について,公的な基準は何もないし,他国のガイドラインでは路上のテストがゴールドスタンダードだとされているのに,公安でコース上の評価もしたという話は聞かない.認知症に関しては最近道路交通法が改定されたが,脳卒中を含む脳損傷については手付かずである.

 本研究のようにシミュレータを使った訓練というのは,実際の公道とは異なるものの,やはり一定の効果はあるようだ.願わくば,このような質の高いシミュレータが一定数普及して,その後に路上もしくはコース上で最終評価を受ける,という流れが望ましい.

本文はこちらから入手できます.
日本語訳はこちら(パスワードは論文タイトルの頭文字をつなげてください.大文字・小文字を区別して,記号は除いて10文字目まで).
例:Living is not breathing but doing. -> Linbbd

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