2018年7月13日金曜日

国際生活機能分類(ICF)リハビリテーションセットに向けて:医療戦略としてのリハビリテーションのための最小限の領域の一般セット Arch Phys Med Rehabil 2016

国際生活機能分類(ICF)リハビリテーションセットに向けて:医療戦略としてのリハビリテーションのための最小限の領域の一般セット














抄録
目的:一連の治療に沿った臨床的な集団において機能状態と障害を報告し評価するための最小限の標準として,国際生活機能分類の包括的セットを作成すること.具体的な目的は,ICFリハビリテーションセットについて推奨される機能状態の領域を特定し,様々な健康状態の個人や集団をまたいで障害を説明するときに,ICFリハビリテーションセットを並行して使用できる環境因子の最小セットを突き止めることである.
デザイン:回帰法(Random ForestとGroup Lasso回帰)を用いた既存のデータの二次的解析と専門家の協議.
条件:急性期,急性期後早期,長期の連続的な治療に沿ったリハビリテーションと地域リハビリテーション.
参加者:種々の健康状態の人(9863人)が主要研究に参加した.従属変数データが利用可能で,この解析に使用した回答者の数は9264人だった.
介入なし
主要評価項目回帰モデルのために,自己報告での全般的な健康を従属変数として用いた.機能状態の要素と環境因子の要素のICFカテゴリーを,それぞれICFリハビリテーションセットと環境因子の最小セットの作成のための独立変数として用いた.
結果12の環境因子で補完された30のICFカテゴリーが,確認されたICFセットと関連していることがわかった.ICFリハビリテーションセットは,身体機能の要素から9個のICFカテゴリーと活動と参加の要素からの21のICFカテゴリーで構成された.環境因子の最小セットは,ICFの環境因子全体に及ぶ12カテゴリーで構成されていた.

結論判定されたセットの試案は,健康状態,時期,リハビリテーションを含む医療条件,国の中で,あるいはまたいで,データを報告するための臨床的な集団における機能状態の側面の最小限の一般セットとして機能する.このようなセットは,一般集団と臨床的集団にわたって,障害に関する既存の情報を調和させるための参照フレームワークを示す.
 リハビリテーションの臨床場面で使いやすいICFセットを作成していくための原案を提示した研究である.さらに,臨床的に重要な環境因子についてもセットを考案している.

 臨床場面で,ICFを活用していくというのはWHOが推進する世界的な流れであるようだ.1450以上あるICFカテゴリーのすべてを評価するのは不可能であるが,臨床上の条件に応じたセットがあれば,使いやすくなるし,さらに分類法としてのICFを帰結の評価にも使えるようなツールに落とし込んだものが登場するとさらに有用と思われる.

 既存のデータとの互換性を含め,課題は多いものの,ICFの活用自体は決定事項のようであるから,いずれはそのような流れになっていくと思われる.

日本語訳はこちらから入手できます(パスワードは文献のタイトルの頭文字をつなげてください.大文字と小文字は区別して,記号は除いて10文字目まで).
例:Second Thoughts are Best. -> STaB

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