2018年9月29日土曜日

急性大動脈解離における炎症による発熱:診断と治療のための説明と提案 Rev Esp Cardiol 2010



急性大動脈解離における炎症による発熱:診断と治療のための説明と提案


 急性大動脈解離を背景とした二次的な発熱を調査した研究はほとんどない.59人の患者の後方視的分析を行った.背景となる大動脈解離に続発した発熱基準を定義した.5人が,急性大動脈解離による炎症性の発熱に一致した臨床的表現形を有していた.主な特性は以下の通りである:発熱は最初の48時間以内に生じた,体温の変動が感染性の発熱よりも有意に小さい(P=0.015),発熱のエピソードは患者の全身的臨床状態に影響しなかった,経験的抗菌療法に反応しない,インドメタシンで治療した患者では発熱が24時間以内に消失した.結論として,急性大動脈解離による発熱は,感染性の発熱とは区別できるような明確な違いのある特徴があった.この病態のよい治療には不要な診断的検査や不適切な抗菌薬の使用を含むべきではなく,背景にある大動脈解離を治療するために必要な治療法を適用するのを遅延すべきではない.

2018年9月16日日曜日

大域的脳波位相同期は脳卒中後の臨床的状態を反映する:脳波研究 Neurorehabil Neural Repair 2017










大域的脳波位相同期は脳卒中後の臨床的状態を反映する:脳波研究













抄録
背景と目的.脳卒中によって生じた局所の脳病変はしばしば残存する神経ネットワークの活動に遠隔効果を与える.脳波技術は,脳損傷後の神経ネットワークの変調を評価することができる.近年,脳波の位相同期分析から,脳活動の大域的位相同期の程度と臨床症状の間の関連性が示された;しかしながら,脳卒中患者においてこのような関連性を評価した研究はほとんどない.対象.この研究の目的は,脳卒中患者における大脳半球位相同期の臨床的重要性を,その臨床状態との相関を計算することによって調査することである.方法.この横断的研究では,入院リハビリテーションのために入院した急性脳梗塞後の患者19人を対象とした.半球間位相同期指数(IH-PSIs; Interhemispheric phase synchrony indices)を,2つの周波数帯(アルファ[α])とベータ[β]で計算し,指数と機能的自立度(FIM),NIHSS,Fugl-Meyer Motor Assessment(FMA)のスコアの間の関連性と分析した.IH-PSIsのさらなる評価のために,病変と同側の半球内位相同期指数(IntraH-PSIs)を,IH-PSIsおよび半球内位相遅延指数(PLIs; IntraH-phase lad indices)とともに評価した.結果.IH-PSIsは外れ値を除いた後でFIMスコアと相関した.PLIsでの解析の結果はIH-PSIsと一致した.結論.PSIsは日常生活スケールの実行状態と相関したが,純粋な運動障害のスケールのスコアとは相関しなかった.このような結果から,IH-PSIsによって表現される大域的位相同期は脳卒中後の臨床状態についての新しい代替マーカーとなることが示唆される.

2018年9月5日水曜日

純粋延髄外側梗塞:連続130人の急性期患者の臨床像−放射線学所見の相関 Brain2003

純粋延髄外側梗塞:連続130人の急性期患者の臨床像−放射線学所見の相関

まとめ
延髄外側梗塞の患者における臨床像−MRI相関を作ろうという試みはなされてきたけれども,多数の患者の研究で参照可能なものはない.この研究では,連続した130人の純粋な延髄外側梗塞の急性期患者の臨床的特性とMRI所見および血管造影の結果を検討し,相関を比較した.MRIで判明した病変を口側尾側について,口側部,中部,尾側部に分類し,水平方向には,典型型,腹側型,広範型,外側型,背側型に分類した.水平方向のサブタイプの分布は,3つの口側尾側病変の間で,有意差があり(P<0.001),口側病変は腹側型になる傾向があり,尾側病変は外側型になる傾向があった.口側に局在する病変の患者は尾側病変の患者よりも,嚥下障害,顔面麻痺(各P<0.01),異常感覚(P<0.01)が有意に多く,重度の歩行失調,頭痛が有意に少なかった(P<0.05).嚥下障害(P<0.01),構音障害(P<0.01),両側三叉神経感覚パターン(P<0.05)の頻度は,‘広範型’の患者では外側型病変の患者と比べて頻度が高いという点において,水平方向のサブタイプの間で有意に差があった.123人の患者に行われた血管造影から,椎骨動脈疾患が67%,後下小脳動脈の疾患が10%にみとめられた.推定される病態の機序は,50%が大血管梗塞,15%が動脈解離,13%が小血管梗塞,5%が心原性塞栓だった.解離は尾側病変(口側病変に対して)の患者により多く生じ(P<0.01),一方,背側型梗塞(他のタイプに対して)は心原性塞栓や正常血管所見とより多く関連していた(それぞれP<0.05).孤発性の後下小脳動脈疾患は(椎骨動脈疾患を伴う患者に対して,心原性塞栓がより多く(P<0.05).解離はより少なかった(P<0.05).MRIの口側−尾側および水平面の分類は,不均一は延髄外側梗塞の臨床像と,部分的には病態の側面を理解する手助けとなる.