まとめ
延髄外側梗塞の患者における臨床像−MRI相関を作ろうという試みはなされてきたけれども,多数の患者の研究で参照可能なものはない.この研究では,連続した130人の純粋な延髄外側梗塞の急性期患者の臨床的特性とMRI所見および血管造影の結果を検討し,相関を比較した.MRIで判明した病変を口側尾側について,口側部,中部,尾側部に分類し,水平方向には,典型型,腹側型,広範型,外側型,背側型に分類した.水平方向のサブタイプの分布は,3つの口側尾側病変の間で,有意差があり(P<0.001),口側病変は腹側型になる傾向があり,尾側病変は外側型になる傾向があった.口側に局在する病変の患者は尾側病変の患者よりも,嚥下障害,顔面麻痺(各P<0.01),異常感覚(P<0.01)が有意に多く,重度の歩行失調,頭痛が有意に少なかった(P<0.05).嚥下障害(P<0.01),構音障害(P<0.01),両側三叉神経感覚パターン(P<0.05)の頻度は,‘広範型’の患者では外側型病変の患者と比べて頻度が高いという点において,水平方向のサブタイプの間で有意に差があった.123人の患者に行われた血管造影から,椎骨動脈疾患が67%,後下小脳動脈の疾患が10%にみとめられた.推定される病態の機序は,50%が大血管梗塞,15%が動脈解離,13%が小血管梗塞,5%が心原性塞栓だった.解離は尾側病変(口側病変に対して)の患者により多く生じ(P<0.01),一方,背側型梗塞(他のタイプに対して)は心原性塞栓や正常血管所見とより多く関連していた(それぞれP<0.05).孤発性の後下小脳動脈疾患は(椎骨動脈疾患を伴う患者に対して,心原性塞栓がより多く(P<0.05).解離はより少なかった(P<0.05).MRIの口側−尾側および水平面の分類は,不均一は延髄外側梗塞の臨床像と,部分的には病態の側面を理解する手助けとなる.
延髄外側梗塞の病変部位と臨床症状の相関を多数の症例で比較した研究である.
口側の病変では,嚥下障害,顔面麻痺/感覚障害が多く,尾側の病変では失調症状が多かったという結果である.
病変部位と脳卒中の病態にも関連があり,動脈解離は尾側病変に多く,背側型は心原性塞栓が多いというのも興味深い.
このような知見と神経解剖と臨床像と照らし合わせると延髄外側梗塞の病態の理解が少し深まると思われる.
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日本語訳はこちら(パスワードは文献タイトルの単語の頭文字をつなげてください.大文字と小文字を区別して,数字・記号は除いて10文字目まで).
例:Two wrongs don’t make a right. -> Twdmar
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