2020年5月7日木曜日

脊髄損傷後に運動回復と機能的回復を促進する非侵襲的脳刺激 Neural Regen Res 2017


脊髄損傷後に運動回復と機能的回復を促進する非侵襲的脳刺激








抄録

我々は,残存する皮質脊髄回路を適切に刺激することができたら,機能回復や痙縮の改善を伴う変化が生じるかもしれないという仮定の下に,脊髄損傷後の患者における運動回復と機能回復もしくは痙縮を改善させることを目的として研究または治療のツールとして非侵襲的脳刺激(反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)と経頭蓋直流電気刺激(tDCS))を用いた研究の系統的レビューを行った.このレビューでは,脊髄損傷後の上肢と下肢の運動回復および機能回復,痙縮のコントロールにおいて非侵襲的脳刺激によって生じた変化に関する文献をまとめた.
 脊髄損傷後の上肢および下肢の機能回復のための経頭蓋磁気刺激と経頭蓋直流電気刺激についてまとめたレビューである.
 質の高い大規模ランダム化比較試験はないまでも,全体としては有望な結果と言える.

 この治療の面白いところは,脊髄ではなく脳を刺激しているところである.脊髄損傷後には脳の皮質表現にも変化が生じることがわかっており,そこに働きかけることで皮質脊髄路の機能回復をもたらすのかもしれない.このレビューでは,作用機序には触れておらず,刺激の仕方も多様であるが,どの刺激法が良いのかといった点も今のところ不明である.

 機器を所有する施設は少ないと思われるが,脊髄損傷は比較的若い患者さんが多いため,このような治療にはニーズが高いと考えられる.国内での普及には保険適用が不可欠だろうが,今回の改定でロボットリハ機器に点数がついたことが突破口になるだろうか.

本文はこちらから入手できます.
日本語訳はこちら(パスワードは論文タイトルの単語の頭文字をつなげてください.大文字・小文字は区別して,記号を除いて10文字目まで).
例:Be so good they can't ignore you. -> Bsgtciy

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