2015年8月13日木曜日

高齢者の嚥下障害:管理と栄養の検討 Clinical Interventions in Aging 2012

高齢者の嚥下障害:管理と栄養の検討



















抄録:嚥下障害は高齢者に多く見られる障害である.加齢は嚥下機能におけるわずかな生理機能の変化を促進するけれども,加齢に関連した疾患は嚥下障害の発生と重症度の重要な因子である.高齢者の疾患や医学的合併症の中でも,脳卒中と認知症は嚥下障害と高率に生じる.どちらの病態においても,嚥下障害は栄養障害を引き起こし,肺炎のリスクを高くする.最近の研究から,地域生活高齢者も嚥下障害のリスクがあり,栄養状態の障害や肺炎リスク上昇と結びつくことが示唆された.摂食・嚥下リハビリテーションは,このような対象において経口摂取の安全性を高めるための有効なアプローチであり,最近の研究では栄養状態の改善や肺炎発生率の低減に関連したさらなる効果が示されている.この記事では,嚥下の加齢性変化についてのデータをレビューし,脳卒中や認知症の患者,および地域生活高齢者の嚥下障害との関連性を議論する.それから,我々は代償的アプローチとリハ的アプローチの両方を含む嚥下障害の介入への基本的アプローチをレビューする.我々は,嚥下障害のある高齢者と嚥下障害のリスクのある高齢者の両方において,栄養障害と肺炎に対する摂食・嚥下リハビリテーションの好ましい効果についての議論の結論を述べる.


高齢者の嚥下障害のレビュー.脳卒中,嚥下障害,地域生活高齢者を対象とした研究に基いて,嚥下障害と栄養障害,嚥下障害の肺炎の関連性と,介入の効果についてレビューしている.

嚥下障害が栄養や肺炎に関連していることは想像に難くないが,気になった点としては,まず,嚥下調整食の負の側面についてである.

現在,嚥下調整食はほとんどルーチンに適用されていると思われるが,患者さんにはあまり好まれてはいないことを示す研究が紹介されている.

また,嚥下調整食を提供されている患者はむしろ栄養状態が悪いという研究についても述べられている.これは嚥下障害のある患者さんが全身状態・機能障害が重症であるということももちろんあり得るが,嚥下調整食が水分を多く含んでいて,同じボリュームを食べていても,普通食よりはエネルギー量が少ないということも影響している可能性がある.
この点は以前から気になっていたことで,食の細い高齢者ではお腹がいっぱいになってしまって,十分な栄養摂取ができないというリスクが生じ得る.

もう1つは,嚥下調整食や食事法を含む代償戦略を用いた介入よりも,嚥下機能そのものの改善を目指した介入のほうが有効性が高いという示唆である.嚥下機能だけでなく,栄養や肺炎にも効果がありそうである.

嚥下リハのピットフォールだと思うのだが,どうしてもVF上の上の誤嚥や残留を指標として介入を決定してしまいがちである.しかし,嚥下機能は訓練で改善するという視点にたって嚥下を評価し適切な訓練を行って機能改善を図ることが重要で,嚥下調整食や代償嚥下法はできれば一時的な対応と位置づけることが重要であろう.

最後に,これも極めて重要なポイントだと思われるが,非経口栄養法は必ずしも予後を改善しないということである.ここでは経静脈栄養については触れていないが,経腸栄養での長期管理は栄養や創傷治癒,肺炎といった問題を改善しないだけでなく,食事という社会交流の場を奪うことによる心理社会的な負の影響があることも留意すべきである.
肺炎のリスクを重視しすぎて,経腸栄養を過剰に適用することは慎むべきだろうと,個人的には考える.


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例:Never leave that till tomorrow which you can do today. -> Nltttwycdt

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