2017年12月21日木曜日

脳卒中患者における手と腕の機能の回復のための感覚電気刺激:文献のレビュー J Nov Physiother 2012












脳卒中患者における手と腕の機能の回復のための感覚電気刺激:文献のレビュー













抄録


背景:感覚振幅電気刺激は,皮質の興奮性に変化を生じさせると報告されてきた.このレビューの目的は,脳卒中患者における手と腕の機能に対する感覚電気刺激の効果を評価することである.


結果:10編の研究がこのレビューの対象として適切とみなされた.10研究のうちの6編はPEDroスコアを提供し,平均(SDは5.7(1.0)だった.どの研究にも有害な影響はなかった.1研究だけ,急性期脳卒中の患者が対象となっていた.軽度の腕の麻痺の患者が研究が多かった.ほとんどの研究で,感覚電気刺激を麻痺側の手関節(正中神経と尺骨神経)にパルス幅1msecで10Hzを2時間与えた.5編の研究で,腕と手の機能を改善させるためには,感覚電気刺激は単独では用いるべきではなく,課題訓練を併用すべきと報告した.

結論:感覚電気刺激は,軽度の腕の麻痺の患者において,機能的課題訓練と併用すると,手と腕の機能を改善するかもしれないが,方法論的に質の高い研究はなかった.さらに,感覚電気刺激が重度の麻痺の患者に効果があるかどうか,急性期に効果があるかどうかは不明である.それゆえ,このレビューの結果は,適切なランダム化比較対照試験がないために依然として結論は出ていない.


 脳卒中をはじめとした神経リハでは,電気刺激で筋を収縮させる機能的電気刺激や治療的電気刺激はすでに臨床現場でもよく使用されているが,このレビューは筋を収縮させない感覚入力に電気刺激を用いるという方法に着目している.

 筋収縮が出ないのにどうして機能が改善するのかといえば,感覚入力が増えることで脳の興奮性に変化が生じ,可塑性変化が生じやすくなるという.CI療法で健側の手を拘束するのと逆の理屈である.
 もちろん,それだけでは脳の機能再構築は生じないから,刺激と訓練の併用が必要であろうことは想像に難くない.

 この方法はなかなか面白い.rTMSやCI療法との相乗効果も期待できそうである.今後が期待される治療法と言える.

本文はこちらから入手できます.
日本語訳はこちら(パスワードは文献タイトルの頭文字をつなげてください.大文字と小文字を区別して10文字目まで).
例:A Problem is your Chance to do your Best. -> APiyCtdyB

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