延髄外側症候群のスペクトラム
33例における臨床所見とMRIの間の相関
背景と目的.CTは延髄病変の評価には不十分であった.延髄外側梗塞は比較的多いタイプの脳血管疾患であるが,臨床所見とMRIの間の詳細な相関は今だに報告されていない.
方法.我々は妥当なMRI病変を示し延髄外側梗塞33人の連続した患者を検討し,臨床所見をMRIの結果との関係を比較した.
結果.失調歩行(88%),めまい/めまい感(91%),嘔気/嘔吐(73%),嚥下障害(61%),嗄声(55%,Horner徴候(73%),顔面の感覚変化(85%),半身の感覚変化(94%)が頻度の高い臨床所見だった.MRIの結果から,延髄の口側部位に局在する病変はたいていは斜めの帯状の形状となり,嚥下障害や嗄声がより重度であること,および顔面麻痺の存在と関連し,一方,尾側病変はたいていは延髄の外側表層部に位置し,より顕著なめまい,眼振,失調歩行と相関するようだった.嘔気/嘔吐とHorner徴候は病変の局在とは関係なく共通であり,腹内側に存在する病変は病変と対側の顔面の感覚変化に関連した.
結論.口側尾側面および背側腹側面でのMRI所見の分析から,疑う余地もなくとは言えないまでも,我々は延髄外側脳卒中症候群の患者の評価の上での解剖学的相関を得ることができた.延髄外側梗塞の症状と病変部位の関連性についての論文である.
延髄の上部では嚥下障害,嗄声,顔面麻痺といった口やノドの機能障害を生じやすく,一方,下部の病変は外側の表層部の病変が多く,めまいや眼振,失調歩行といった症状が多いようである.
恐らく前者は疑核など迷走神経の神経核,後者は小脳客に由来する症状と思われる.
このような違いは,もちろん延髄の機能解剖的にも説明できるが,もう1つ重要なことは血管支配や血管の閉塞しやすさにも関係している.椎骨動脈では解離も多いので,解離しやすい場所と巻き込まれやすい分枝というのもあるだろうと推測される.
延髄病変を見たときは,このような病変の分布も意識すると,リハの進め方や予後予測の参考になるかもしれない.
本文はこちらから入手できます.
日本語訳はこちら(パスワードは論文タイトルの単語の頭文字をつなげてください.大文字と小文字は区別して10文字目まで).
例:Take Time to Deliberate, but When the Time for Action Comes, Stop Thinking and Go in. -> TTtDbWtTfA
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