2021年5月9日日曜日

脳卒中亜急性期で相当の脚の障害のある患者における非障害側下肢運動野の反復経頭蓋磁気刺激の効果:予備研究 J Rehabil Med 2015

 

脳卒中亜急性期で相当の脚の障害のある患者における非障害側下肢運動野の反復経頭蓋磁気刺激の効果:予備研究
















目的:脳卒中亜急性期後の相当の下肢障害のある患者の間での歩行機能に対する反復経頭蓋磁気刺激rTMSの効果を評価すること.
デザイン:シャム比較群を対象とした二重盲検・層別化・ランダム化試験.
参加者:初回脳卒中亜急性期後の片側片麻痺で,入院脳卒中リハビリテーションを行っている患者.
方法:本研究で使用された15日間の介入プログラムでは,rTMS(1Hz,15分)を非障害側半球の脚の運動野上に適用し,その後で45分間の理学療法を行なった.全体として,32人の参加者がランダムに,実刺激のrTMSとシャム刺激のrTMSのいずれかを受けるように割り付けられた.臨床評価として,the Postural Assessment Scale for Stroke Patients (PASS),the Performance Oriented Mobility Assessmentのバランスの下位スケール(POMA-b),Fugl-Meyer Assessment,Barthel Index(BI),Timed Up & Go testを含み,介入直前・直後に実施した.
結果:両群とも,すべての評価で継時的に有意な改善を示した.測定後の評価で,実刺激のrTMS群の患者は.シャム刺激のrTMS群の患者と比べて,PASS,POMA,BIのスコアでより大きな改善を示した.さらに,実刺激のrTMS群では,シャム刺激のrTMS群よりも多くの数の患者が,歩行能力を回復した.
結論:1 Hz rTMSの適用は,脳卒中亜急性期後の相当の下肢障害の患者において,歩行能力を改善するかもしれない.
 脳卒中後片麻痺の下肢機能(=歩行能力)に対する反復経頭蓋磁気刺激rTMSの効果を検証した研究である.小規模の予備研究ではあるが,比較的よくデザインされた前方視的研究で,治療企図解析がなされており,かなりの質の高い研究といって良いと思う.

 結果はかなり有望なものであり,歩行やバランスに関するパラメータはすべて有意差が出た. Fugl-Meyer Assessmentには有意差が出なかったのは,やや残念であるが,これは感度が低かったという可能性もあるし,そもそも下肢のリハは下肢の随意性向上を目的とした訓練よりも歩行に特異的な訓練が中心になるということも関係しているかもしれない.FMAとは無関係に歩行能力に差が出たという結果もなかなかに示唆的ではある.

 本研究は8の字コイルを用いているが,ダブルコーンコイルなら,より低い刺激強度で有効な脳の刺激が可能になることが期待される.

本文はこちらから入手できます.
日本語訳はこちら(パスワードは論文タイトルの単語の頭文字をつなげてください.大文字と小文字は区別して10文字目まで).
例:I never lose. I either win or learn. -> InlIewol

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