嚥下障害のある脳卒中患者における喉頭蓋谷バルーン法の効果
目的 脳卒中患者において,Foleyカテーテルでのバルーン拡張法と喉頭蓋谷腔でのバルーン嚥下法の後の嚥下障害の改善を調査する.
方法 この研究は,2012年5月1日から2015年12月31日の間に行われ,嚥下困難の主訴のある脳卒中患者30人が対象となった.すべての患者に,バルーン法の前後に嚥下造影検査を実施した.嚥下造影は,半固形の食塊4mLで行なった.喉頭蓋谷バルーン法のために,2つの訓練を少なくとも10分ずつ以上行なった.その方法は,喉頭蓋の逆方向ストレッチと喉頭蓋谷腔に置かれたバルーンの嚥下で,嚥下造影を用いてリアルタイムにFoleyカテーテルの先端の動きを確認した.
結果 喉頭蓋谷バルーン法の前後の嚥下パターンの改善の調査後に,喉頭挙上(x軸:前2.62±1.51mm,後3.51±1.93mm,p=0.038;y軸:前17.11±4.24,後22.11±3.46mm,p=0.036),咽頭通過時間(前5.76±6.61秒,後4.08±5.49秒,p=0.043),喉頭蓋の反転(前53.24°±26.77°,後32.45°±24.60°,p<0.001),嚥下後の咽頭残留(前41.31±23.77%,後32.45±24.60%,p=0.002)が統計学的に有意な変化を示した.喉頭侵入−誤嚥スコアは有意差はなかった(前4.73±1.50,後4.46±1.79,p=0.391).
結論 喉頭蓋の運動不全と嚥下後の残留のある脳卒中患者にとって,喉頭蓋谷バルーン法は,嚥下障害の治療において誤嚥の危険なく適用できる代替法と見なすことができるかもしれない.バルーンを用いた嚥下リハの研究である.
国内で通常行われているバルーン拡張法は,上部食道括約筋への介入であるが,この記事の方法は喉頭蓋への介入を含んでいる点が少し変わっている.
バルーン嚥下が直接訓練の安全な代替手段になるかもしれないということには異論はないが,喉頭蓋の可動性がこの方法で改善するのかどうかはにわかには信じ難いところもある.つまり,訓練時には確かに改善するのだろうが,実際の食事でも変化があるのかどうかまで確かめられていないので,その辺りが今後の課題と言える.
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例:The First Step is Always the Hardest. -> TFSiAtH
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