2017年8月17日木曜日

脳卒中関連肺炎のリスクと口腔衛生 Cerebrovasc Des 2015

 
脳卒中関連肺炎のリスクと口腔衛生










































抄録
背景:肺炎は脳卒中の主要合併症であるが,効果的な予防戦略がない.口腔咽頭分泌物の誤嚥が,脳卒中関連肺炎発生に関する主なメカニズムなので,病原細菌の口腔内のコロニー形成を減少させるような戦略が,肺炎リスクを提言するのに役立つかもしれない.したがって,我々は,系統的口腔ケアプロトコルが,入院中の脳卒中患者の肺炎リスクを低下させることができるという仮説を立てた.本研究では,我々は,急性期−亜急性期脳卒中患者における院内発症の肺炎減少に対する系統的口腔衛生ケアプログラムの影響を調べた.方法:本研究では,系統的口腔衛生ケア介入の実施前と後の脳卒中の入院患者の肺炎発生率を比較した.2008年5月31日から20106月1日,および,2012年1月1日から2013年12月31日までにボストンの都市部の大型学問的医療センターに入院した急性脳梗塞または脳内出血で入院したすべての患者で,18歳以上,2日以上の入院していた患者が対象の候補となった.この前半のコホートがコントロール群となり.一方,後半のコホートが介入群となった.多変量ロジスティック回帰を用いて,交絡因子をコントロールした.主要評価項目は院内発症肺炎で,国際疾病分類第9版の改変コード集の定義に従った.結果:コホートは,入院1656件があった(歴史的コントロール707人,介入群949人).院内肺炎の無調整発生率は,口腔衛生ケアに割り当てられた群では,コントロールに比べて低く(14対10.33%;p=0.022),非調整オッズ比は0.68(95%信頼区間0.48-0.95)だった.影響のある交絡因子を調整すると,介入群の院内肺炎のオッズ比は依然として有意に低く0.71だった(95%信頼区間0.51-0.98).結論:急性脳卒中で入院した患者での,この大規模な入院患者のコホートでは,系統的口腔衛生ケアの使用が,院内肺炎のオッズ比低下と関連した.

 口腔ケアの肺炎予防効果を検証した研究である.
 かなりしっかりとした職員教育を行なって,口腔ケアを徹底するプロトコルを作成し,その導入前後を比較している.残念ながら,効果の大きさがあまり大きくなく,また,ランダム化比較対照試験ではなく,対象の入院時期に差があるためか,脳卒中のタイプや,とくに挿管症例の割合にかなり差があるため,口腔ケアだけの効果なのかどうかも不明な点はあるが,多変量解析で検定しているので,統計学的には有意ではある.

 願わくば,肺炎のハイリスク症例を絞ったランダム化比較対照試験と行うことができるとよいが,盲検化は不可能だし,コントロール群を介入なしとするのは倫理上問題があるかもしれない.この辺りが,この種の介入のエビデンス構築を困難にしている要因と言える.

日本語訳はこちらから入手できます(パスワードは論文タイトルの単語の頭文字をつないでください.大文字と小文字は区別して記号は除いて10文字目まで).
例:First Impressions are the Most Lasting. -> FIatML

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