急性脳梗塞後の感染症
脳誘発性免疫抑制の表明
背景と目的−実験での局所虚血後の感染症は,脳誘発性免疫抑制の結果,生じるかもしれない.しかし,ヒトの脳卒中で同じ症候群が生じるかどうかははっきりしない.
レビューのまとめ−多くの患者が,最適な治療にもかかわらず,急性脳卒中後すぐに感染症を生じる.このような患者では死亡率が高く,脳卒中の重症度が感染リスクのもっとも強力な決定因子である.しかしながら,感染症が神経学的増悪を助長するのか,あるいは重症疾患であることのマーカーを代わりであることを意味しているのかは議論がある.脳と免疫系は,神経と体液の経路を介して機能的に連絡しており,感染症の発生率が上昇するような免疫能力の低下は,いくつかの急性の神経学的病態で示されてきた.実験的脳虚血では,感染症は自律神経系と神経内分泌経路の活性化と関連があり,これらは抗炎症信号の強度を高める.最近,感染は症状の進行との独立した関連性は示されなかったけれども,サイトカインによって調整される強力な抗炎症反応が感染のよりハイリスクの脳卒中患者でみとめられた.
結論−急性脳卒中の患者における感染症の発生は,部分的には,急性脳損傷によってトリガーされる免疫学的機序によるものである.過度の抗炎症反応が,感染症発生の重要な促進因子であり,この免疫反応は脳虚血に対する適応的メカニズムを表しているようである.対称的に,感染がヒトの脳卒中の予後不良に対して,独立して関与しているかどうかは不明である.全体として,脳と免疫系の間のやりとりについてより理解することが,急性脳卒中の患者における,より効率的な治療につながるだろう.脳卒中による免疫機能への影響について解説した記事である.
脳卒中を含む脳損傷が免疫機能を低下させ,それが肺炎などの感染症を起きやすくする要因の一つであるかもしれない.
この解説記事では,中枢神経系と免疫系の間の関連についても解説されている.
これらのマーカーを何らかの方法で評価できれば,脳卒中後の感染症のリスクの高い患者をスクリーニングできるかもしれないし,脳外での免疫機能を維持できるような介入の糸口が見つかることも期待できる.
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例:I will Prepare and Some Day My Chance will Come. -> IwPaSDMCwC
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