脳卒中後の言語回復における神経生物学:神経画像研究から知見
抄録
言語は,ヒトの脳において,大規模に,左半球優位で,側頭ー頭頂ー前頭葉のネットワークに組織化されている.脳の局所病変(例えば,脳梗塞)の後にはこのネットワークの組織化により,脳が病変部位を代償して,言語機能の適応した再組織化ができるようにする.ここで我々は,構造的・機能的神経画像の手法が,脳卒中後の言語機能の喪失と回復についての現在の理解に対して,どのように貢献したかをまとめる.これには,画像に基づいた予後予測とともに,脳卒中急性期から慢性期での,ボクセル単位の病変ー行動マッピング(voxelwise lesion-behavior mapping),再組織化の機序をマッピングするための機能画像がある.このレビューは,健常な脳における言語の組織化を述べた導入部分で補完される.機能画像の知見から得られた言語機能の局在と,脳病変からの回復過程のレビューである.古典的なBroca野・Wernicke野だけでなく,弓状束・上縦束の重要性が解説され,また言語機能の回復における脳の可塑性変化のパターンが紹介されている.
ただ,臨床的には言語の回復は麻痺以上に個人差が大きいような気がする.病前の言語機能・知的能力の差なのかもしれないし,本人の行動的な影響(家族の有無や社交的かどうかなど)もあるのかもしれない.その辺りまで含めて説明できるような進歩を期待したい.
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例:He Is a Friend of Mine. -> HIaFoM
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