脳梗塞後の運動回復についての個人内の変動性
背景.脳卒中後の運動回復は,臨床的な変数によってそこそこに予測されるだけであり,回復には未だに説明されていないような生物学的に意味のある変動性がかなり大きいことを示している.回帰診断から,このことが単にガウス差に関連したものであるか,そうでなければ,臨床的な変数への関連性において変動の大きい複数の小集団に関連しているかのどちらかであることが示すことができる.目的.回復対臨床的予測因子についての線形モデルに関する回帰診断を行うこと.方法.脳梗塞患者41人が研究された.障害は上肢Fugl-Meyer Scoreを用いて評価された.運動回復は,脳卒中後24〜72時間から3ヶ月後または6ヶ月後の間のFugl-Meyer Scoreの変化と定義した.モデルの臨床的予測因子は,年齢,性別,梗塞部位(皮質下対皮質),拡散強調像での梗塞巣の容積,再評価での時間,急性期の上肢Fugl-Meyer Scoreである.回帰診断には,ガウス差についてはKolmogorov-Smirnov検定と,外れ値については検出されたスチューデント化された残差を用いた検定を行われた.結果.ランダム標本では,臨床的変数は回復の変動のわずか47%しか説明しなかった.初期の障害がもっとも重度だった患者の間では,回復が極めて不良だった回帰の外れ値のセットがあった.外れ値を除くと,説明される回復の変動は89%まで上昇し,回復は,初期の障害との比例関係でよく近似された(回復≌0.70×初期の障害).結論.臨床的変数は,運動回復をそこそこにしか予測しない.回帰診断は,ほとんど回復を示さない重度の初期障害という外れ値の小集団の存在を示した.これらの外れ値を除くと,臨床変数は残りの患者の回復の良い予測因子であり,回復は初期の障害に対して強固な比例関係を示した.
脳卒中後の回復は初期障害からの比例関係で決まるが,重度の麻痺の中にはほとんど回復しない患者がおり,このような患者は比例回復する患者とは区別されるという研究である.
この比例回復の考え方はなかなか面白い.リハ診療に携わっているが,回復の余力は発症次にすでに決まっており,その後の経過はどれだけその限界値に近づけたかどうかなのかなと感じることがある.この研究はそれを示したデータと言える.
近似式の収まりも極めて良好で,このような確信的な考察をするのも理解できるが,一方で単施設の研究であり,同じような訓練を受けたから同じように回復したのではないかという気もしないでもない.この辺りは,今後のより大規模な研究で明らかになるだろう.
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日本語訳はこちら(パスワードは論文タイトルの単語の頭文字をつなげてください.大文字と小文字を区別して,記号は除いて10文字目まで).
例:Talent Wins Games, but Teamwork and Intelligence Wins Championship. -> TWGbTaIWC
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