2018年8月3日金曜日

外因系凝固経路に影響し,プロカルシトニンを上昇させないような内因性メディエータによって生じる急性大動脈解離における発熱 Intern Med 2016

外因系凝固経路に影響し,プロカルシトニンを上昇させないような内因性メディエータによって生じる急性大動脈解離における発熱















抄録
目的 急性大動脈解離の約1/3に発熱をみとめる:しかしながら,原因は依然として不明である.我々は,急性大動脈解離における発熱の機序を,炎症マーカーや凝固・線溶メディエータおよび,細菌感染症のマーカーであるプロカルシトニンの血清濃度を測定することで調査した.
方法 我々は,明らかな感染がなく,内科的に治療された急性大動脈解離患者43人を後方視的に調べた.患者を,最高体温>38℃がある患者(A群;19人)とない患者(B群;24人)に分けた.我々は,どの患者が全身性炎症反応症候群(SIRS)についての診断基準をすべて満たすかを証明し,その発熱との関連性を調べた.炎症,および凝固・線溶のメディエータを単変量解析で比較した.発熱と独立して関連した因子を多変量解析で立証した.
結果 SIRSの診断基準はA群(79%)ではB群(42%, p=0.001)よりも割合が多かった.プロカルシトニンの濃度はA群とB群の間に有意差はなかった(それぞれ0.15±0.17ng/mL vs. 0.11±0.12ng/mL,p=0.572).血清プロカルシトニン濃度は測定した患者ではすべて正常範囲であり,このことから,発熱は内因性メディエータによることが示された.多変量解析では,発熱とPT-INRの間に境界域の有意な関係があり(p=0.065),同じように組織因子によって始まった外因系経路の活性を反映していた.
結論 我々の知見は,急性大動脈解離における発熱がSIRSによって生じ,これが血清プロカルシトニン濃度を上昇させずに外因性凝固経路に影響するような内因性メディエータによって誘発されることを示唆している.
 急性大動脈解離の発熱の機序を,臨床的な検査項目から推測した研究である.
 炎症反応は上昇しているが,プロカルシトニンは上昇していなかったことから,細菌感染は否定的であり,SIRSとの関連を示している以外に,PTが延長と関連がありそうなので,外因性凝固経路の関与した機序を推測している.

 大動脈解離が血行動態の変化だけでなく,全身的な炎症反応を生じさせるということは,我々リハ医にはあまり馴染みのない概念である.このような症例における発熱を見たときには色々な可能性を考えて慎重に対応する必要があるだろう.

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日本語訳はこちら(パスワードは論文タイトルの単語の頭文字をつなげてください.大文字と小文字を区別して10文字目まで).
例:Only Put Off until Tomorrow What You are Willing to Die Having Left Undone. -> OPOuTWYaWt


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