2019年12月31日火曜日

エビデンスの基づいた認知リハビリテーション:2009年から2014年の文献の系統的レビュー APMR2019


エビデンスの基づいた認知リハビリテーション:2009年から2014年の文献の系統的レビュー












抄録
目的:頭部外傷または脳卒中の患者の認知リハビリテーションについての臨床文献の最新版の系統的レビューを行い,研究デザインの強さに基づいて研究を分類し,コンセンサスの得られるようなエビデンスに基づいた臨床的推奨を導き出すこと.
データソース:オンラインのPubMed検索と紙面の雑誌の検索で,2009年から2014年に公表された250件の記事についての引用が見つかった.
研究の選択:最初のスクリーニング後,186件の記事が対象として選択された.50篇が最初に除外された(神経学的な診断のない患者,小児の患者,神経学的診断の他の患者を対象とした文献24篇,認知介入以外10篇,記述的プロトコルまたは研究13篇,治療研究以外1篇).完全なレビューのあとで15篇の記事が除外された(他の神経学的診断1篇,治療研究以外2篇,定性的研究1篇,記述的文献4篇,二次解析7篇).121研究が完全にレビューされた.
データ抽出:文献はthe Cognitive Rehabilitation Task Forceのメンバーによって,研究デザインと質についての特異的な対象基準に応じてレビューされ,クラスⅠ,クラスⅡ,クラスⅢのエビデンスを提供するものとして分類された.文献は,可能性のある6カテゴリー(注意,視覚と無視,言語とコミュニケーションスキル,記憶,遂行機能,包括的–統合的介入についての介入に基づく)の1つに割り当てられた.
データ統合:121研究のうち,クラスⅠと評価された研究が41篇,クラスⅠaが3篇,クラスⅡが14篇,クラスⅢが63篇だった.推奨は,過去のレビューで適用された決定規則に基づいて,エビデンスの相対的な強さからthe Cognitive Rehabilitation Task Forceのコンセンサスによって導かれた.
結論:the Cognitive Rehabilitation Task Forceは,今では,491篇の文献(クラスⅠまたはⅠaが109篇,クラスⅡが68篇,クラスⅢが314篇)を評価し,認知リハビリテーションのエビデンスに基づいた診療のための29の推奨を決定した(標準的治療9,診療ガイドライン9,診療の意見11).エビデンスは以下の標準的治療を支持している;(1)頭部外傷または脳卒中後の注意障害,(2)右大脳半球の脳卒中後の無視に対する視覚探索,(3)軽度の記名力障害に対する代償戦略,(4)左大脳半球の脳卒中後の言語障害,(5)頭部外傷後の社会的コミュニケーション障害,(6)遂行機能における障害に対するメタ認知戦略訓練,(7)頭部外傷または脳卒中後の認知障害と機能的障害を軽減するための包括的–全体的神経心理学的リハビリテーション.

2019年8月15日木曜日

脳卒中後の四肢痙縮に対するA型ボツリヌス毒素の有効性と安全性:ランダム化比較対照試験のメタ解析 Biomed Res Int 2019

脳卒中後の四肢痙縮に対するA型ボツリヌス毒素の有効性と安全性:ランダム化比較対照試験のメタ解析
背景.脳卒中後の四肢痙縮のある患者におけるA型ボツリヌス毒素の筋内投与の有効性については,報告されたデータが一致していない.参照可能なランダム化比較対照試験でのこのメタ解析は,脳卒中後の上肢と下肢の痙縮のある成人患者におけるA型ボツリヌス毒素の有効性と安全性を決定することを目的としている.方法.候補となるランダム化比較対照試験を選択するために,PubMed,Embase,Cochrane libararyで,2018年12月に電子検索を行なった.標準化平均差と相対危険度に対応する95%信頼区間とともにまとめて,それぞれ有効性と安全性の帰結を評価するために採用した.結果.合計2,793人の患者を対象とする17編のランダム化比較対照試験が対象基準を満たし,それぞれ16編が上肢痙縮の症例で,9編が下肢痙縮の症例を対象としていた.上肢痙縮については,A型ボツリヌス毒素療法は,筋緊張のレベル(標準化平均差=-0.76; 95%信頼区間-0.97〜-0.55; P<0.001),医師の全体的評価(標準化平均差= 0.51; 95%信頼区間0.35〜0.67; P<0.001),障害評価スケール(標準化平均差=-0.30; 95%信頼区間-0.40〜-0.20; P<0.001)有意に改善し,能動的上肢機能(標準化平均差=0.49; 95%信頼区間-0.08〜1.07; P=0.093)と有害事象(相対危険度=1.18; 95%信頼区間0.72〜1.93; P=0.509)には有意差はなかった.下肢痙縮については,A型ボツリヌス毒素療法は,Fugl-Meyerスコアがより高値(標準化平均差=5.09; 95%信頼区間2.16〜8.01; P=0.001)だったが,筋緊張(標準化平均差=-0.12; 95%信頼区間-0.83〜0.59; P=0.736),歩行速度(標準化平均差=0.06; 95%信頼区間-0.02〜0.15; P=0.116),有害事象(相対危険度=1.01; 95%信頼区間0.71〜1.45; P=0.949)には有意差はなかった.結論.A型ボツリヌス毒素は,上肢痙縮においては筋緊張,医師の全体的評価,障害評価スケールを改善し,下肢痙縮においてはFugl- Meyerスコアを改善する.

2019年7月31日水曜日

放射線誘発認知毒性:成人における病態生理と毒性を軽減させるような介入 Neuro Oncol 2018

放射線誘発認知毒性:成人における病態生理と毒性を軽減させるような介入 Neuro Oncol 2018












抄録

放射線療法は,原発性脳腫瘍のある患者と同様に脳への転移の疾患のある患者の治療においてありふれたものである.しかしながら,この治療には代償が伴い,脳照射,特に全脳照射では,頻繁に認知機能低下を伴う.放射線誘発性の合併症の説明となる正確な機序は,いまだに完全にはわかっておらず,現在進行中の研究の活発な領域であり続けている.この記事では,我々は,脳照射が認知機能低下を生じさせる機序の仮説とともに治療誘発性の認知機能低下を予防し,最小限に食い止め,回復させるような有望な治療アプローチをレビューする.我々はさらに,部位に特異的な放射線誘発性変化あるいは機能的変化とその臨床的帰結との関連性を判別するために用いることができる可能性のある画像化モダリティの進歩をレビューする.

2019年7月5日金曜日

脳卒中後の患者における空間・時間的歩行特性に対する装着型外骨格型ストライド管理補助システム(SMA)の効果:ランダム化比較対照試験 J Neuroeng Rehabil2015

脳卒中後の患者における空間・時間的歩行特性に対する装着型外骨格型ストライド管理補助システム(SMA)の効果:ランダム化比較対照試験





















抄録
背景:ロボットは,脳卒中を原因とする歩行障害を治療するための反復的・高用量・高強度の訓練を提供するような,代替的で,潜在的には有利な手法である.この研究では,我々は,脳卒中後患者における空間的・時間的歩行パラメータに対するStride Management Assist (SMA) System,すなわち,Honda R&D Corporation(本田技術研究所)が開発した新しい装着型ロボット機器と機能的課題特異的訓練の効果を比較した.
方法:機能的課題特異的訓練と,SMA機器での課題特異的歩行訓練の空間的・時間的歩行パラメータに対する効果を評価するために,単盲検化ランダムか比較対照試験を行った.参加者(50人)はランダムに機能的課題特異的訓練またはSMAに割り当てた.両群における被験者は,訓練を,週3回,6-8週間,最大18セッション受けた.被験者の空間的・時間的歩行特性を,訓練前(ベースライン),訓練中,訓練後,3ヶ月後の追跡で,GAITRiteシステムを用いて収集した.
結果:訓練後,両方の訓練群で,ベースラインと比べて,歩行パラメータにおける有意な改善をみとめ,速度とケイデンスの向上,障害側の遊脚期の時間の短縮,障害側および非障害側の歩幅の増大である.訓練群に有意差はみとめなかったが,例外は,SMA群では,自己選択歩行速度の試行中の障害側の歩幅が増大したことと,早い歩行での歩行試行中の空間的非対称性が有意に減少したことである.
結論:SMAと機能的課題特異的訓練の介入は,空間的・時間的歩行パラメータに同程度の有意な改善をもたらす.しかしながら,SMA群は,いくつかの時点で,より多くのパラメータに追加的効果を示した.これらの結果から,SMA機器が,空間的・時間的パラメータを改善できるような有用な治療ツールであり,脳卒中後の患者における機能的歩行の改善に寄与できるかもしれないことが示された.在宅の環境とクリニックの環境の比較におけるこの機器の使用の実用性を判定し,在宅での使用が効果的であり続けるかどうかを判定するためにさらなる研究が必要である.
試験の登録:本研究は,”Development of walk assist device to improve community ambulation”というタイトルの下で登録され,研究の識別子:NCT01994395でclinicaltrails.govに保存されている.

2019年6月12日水曜日

脳出血と脳梗塞後のリハビリテーションでの機能回復 Arch Phys Med Rehabil 2003

脳出血と脳梗塞後のリハビリテーションでの機能回復











目的:リハビリテーション療法後の回復を定量化し,脳梗塞と比較して脳内出血後の患者における機能的帰結を予測する因子を判定すること.
デザイン:4年間にわたるリハビリテーション病院への脳内出血および脳梗塞の連続した入院患者の後方視的研究.
条件:独立した都市部のリハビリテーション病院.
参加者:合計1064症例が対象基準を満たした(女性545人,男性519人;脳梗塞871人,脳内出血193人).
介入:参照不能.
主要評価項目:FIMを用いて評価した機能状態で,入院時と退院時に記録した.回復はFIM合計スコアの変化(ΔFIM合計スコア)で定量化した.帰結評価は,退院時合計FIMスコアとΔFIM合計スコアである.単変量解析と多変量解析を行なった.
結果:入院時FIM合計スコアは,脳梗塞患者では,脳内出血患者よりも高かった(59対51,P=0.0001).退院時FIM合計スコアにおいては差はなかった.脳出血の患者は脳梗塞の患者よりも有意に大きな回復を生じた(ΔFIM合計スコア28対23.3,P=0.002).多変量解析では,若年であること,在院日数が長いこと,入院時のFIM認知下位スコアが,退院時FIM合計スコアとΔFIM合計スコアを独立して予測した.入院時FIMスコアで示された入院時の障害の重症度は,退院時FIM合計スコアを独立して予測したが,ΔFIM合計スコアは予測しなかった.最重症の脳卒中の脳内出血患者は,同程度の重症度の脳梗塞患者よりも有意に大きな改善を生じた.
結論:入院時には,脳内出血患者は,脳梗塞患者よりも重度の機能的障害を有していたが,より大きく改善した.最重症の脳内出血患者は,同程度の重症度の脳梗塞患者よりも改善した.初期の重症度,年齢,治療期間が,リハビリテーション後の機能予後をもっともよく予測した.

2019年4月12日金曜日

脳卒中後の半側空間無視に対する非侵襲的脳刺激:ランダム化・非ランダム化比較対象試験の系統的レビューとメタ解析 Neural Plasticity 2018





















脳卒中後の半側空間無視に対する非侵襲的脳刺激:ランダム化・非ランダム化比較対象試験の系統的レビューとメタ解析












背景.半側空間無視は,脳卒中後にもっとも多い知覚障害である.非侵襲的脳刺激は,皮質の興奮性を調整し,知覚能力と機能的能力を改善させるリハビリテーションプロセスにおいて用いられてきたツールである.目的.脳卒中後の半側空間無視に対する非侵襲的脳刺激の効果を評価する.方法.2016年7月までで広範囲の検索を行った.研究が,脳卒中後の半側空間無視で,標準化された半側空間無視のテストと機能的テストで帰結を評価されたものであって,経頭蓋直流電気刺激(tDCS),反復経頭蓋時期刺激(rTMS),シータバースト刺激(TBS)を調べた比較試験・非比較試験であれば選択した.結果.ランダム化比較試験12編(参加者273人),非ランダム化比較試験4編(参加者94人)が的確とわかった.我々は,非侵襲的脳刺激で,シャムと比較して,線分二等分試験で評価された全体的な半側空間無視に効果をみとめた(SMD-2.35,95%信頼区間-3.75− -0.98;p=0.0001);rTMSは,全体的なメタ解析(SMD-2.82,95%信頼区間-3.66− -1.98;p=0.09)と一致した結果が得られた.シャム刺激と比較して,rTMSは,1Hz(SMD1.46,95%信頼区間0.73− 2.20;p<0.0001)および10Hz(SMD1.19,95%信頼区間0.48−1.89;p=0.54)の両方で,Motor- Free Visual Perception Testで評価した全体的な半側空間無視にも効果があった.1Hz rTMSはシャム刺激と比べて,Albert試験および線分抹消試験で測定した全体的半側空間無視にも効果があった(SMD2.04,95%信頼区間1.14−2.95;p<0.0001).結論.結果から,全体的な半側空間無視に対する非侵襲的脳刺激の効果が示唆され,我々はrTMSは脳卒中後の半側空間無視に対して,シャム刺激と比べて,より効果的であると結論づけた.

2019年3月26日火曜日

二重課題運動は,脳卒中後の歩行と転倒における認知−運動干渉を減少させる ランダム化比較対照試験 Stroke2018


二重課題運動は,脳卒中後の歩行と転倒における認知−運動干渉を減少させる
ランダム化比較対照試験



背景と目的−地域での機能的歩行には,移動と認知の課題を同期的に行う能力(二重課題の遂行)が必要である.この単盲検化ランダム化比較対照試験は,脳卒中慢性期患者における二重課題訓練の効果を調べることである.
方法−脳卒中慢性期患者84人(女性24人;年齢t61.2±6.4歳;脳卒中発症からの期間75.3±64.9ヶ月)で,運動障害は軽度から中等後(Chedoke-McMaster下肢運動スコア:中央値5;四分位範囲4-6),をランダムに二重課題でのバランス/歩行訓練群と単独課題でのバランス/歩行訓練群,あるいは上肢訓練群(コントロール)に割り当てた.各群は,1週間に60分のセッションを3回行った.二重課題干渉効果は,3つの歩行テスト(前方への歩行,timed-up-and-go,障害物横断)を完了するために必要な時間と,連続3引き算と言語流暢性課題の間の正答率を測定した.二次評価項目には,Activities-specific Balance Confidence Scale,Frenchay Activities Index,Stroke specific Quality of Life Scaleとした.上記の評価項目をベースライン,訓練直後,8週間の訓練後に測定した.訓練後6ヶ月間の転倒発生率を記録した.
結果−二重課題群だけが,訓練後に歩行中の二重課題干渉の減少を示した(言語流暢性課題と併用した前方歩行[9.5%,P=0.014],連続3引き算[9.6%,P=0.035],言語流暢性課題を伴うtimed- up-and-go[16.8%,P=0.001]).二重課題における改善は8週目の追跡で概ね維持された.二重課題認知の能力は,有意な変化を示さなかった.二重課題プログラムは,6ヶ月間の追跡期間中の転倒と外傷のリスクをコントロールと比べてそれぞれ25.0%(95%信頼区間3.1%-46.9%;P=0.037),22.2%(95%信頼区間4.0%-38.4%;P=0.023)低減した.その他の二次評価項目には有意な影響はなかった.
結論−二重課題プログラムは,歩行可能で認知機能の保たれた脳卒中慢性期患者において,二重課題歩行を改善させる上で効果的であり,転倒と転倒に関連した外傷を減少させた.活動参加やQOLには有意な影響はなかった.


2019年2月8日金曜日

高齢患者における重症脳動脈瘤性くも膜下出血後の生存率と帰結 Stroke2018

高齢患者における重症脳動脈瘤性くも膜下出血後の生存率と帰結
背景と目的−重症脳動脈瘤性くも膜下出血(aSAH)を生じた高齢患者に最大限の治療を提供すべきかどうかは議論の余地がある.aSAH後の6〜12ヶ月後におけるこのサブグループの通常の評価項目はおろか生存率も不明である.この研究の目的は,患者のこのサブグループに対して,治療についての臨床家の意思決定に役立つような生存率と帰結のデータを提供することである.
方法−我々は,2005年から2017年に当院に入院したaSAHを生じた重症(WFNS分類ⅣとⅤ)高齢患者(年齢60歳以上)についてのBernese SAHデータベースの後方視的分析を行った.患者を3つの年齢グループ(60-69歳,70-79歳,80-90歳)に分けた.生存率分析は平均生存率と死亡に対するハザード比を推定するために行った.二元対数回帰を用いて,予後良好(modified Rankin Scaleスコア0-3)と予後不良(modified Rankin Scaleスコア4-6)についてのオッズ比を推定した.
結果−年齢が高齢であることは,aSAH後の死亡のリスク増大と関連した.年齢が1年上がるごとにハザード比は6%増大し(P<0.001;ハザード比1.06;95%信頼区間1.03-1.09),10年ごとに76%増大した(P<0.001;ハザード比1.76;95%信頼区間1.35-2.29).平均生存期間は56.3±8ヶ月(60-69歳の患者),31.6±7.6ヶ月(70-79歳の患者),7.6±5.8ヶ月(80-90歳の患者)だった.aSAH後の6-12ヶ月後の予後不良は高齢と強く相関した.オッズ比は年齢1歳ごとに11%(P<0.001;オッズ比1.11;95%信頼区間1.05-1.18),10歳ごとに192%(P<0.001;オッズ比2.92;95%信頼区間1.63-5.26)増大した.

結論−重症aSAHの高齢患者では,死亡と予後不良のリスクは年齢が高齢であると顕著に増大した.初期の死亡率が高いにも関わらず,治療hは79歳までは予後良好と理にかなった割合となった.aSAH後6-12ヶ月後に中等度から重度の障害の患者は少数だった.平均生存期間と予後良好の割合は.80歳以上の患者では顕著に減少した.

2019年2月5日火曜日

脳血管イベント後の交通事故のリスクの増大 Stroke2018

脳血管イベント後の交通事故のリスクの増大
背景と目的−我々は,脳血管イベント後の自動車衝突事故の長期リスクと,左半球イベントあるいは右半球イベント後にリスクが同等かどうかを判定することを目的とした.
方法−我々は,カナダ,オンタリオ州で2003から2013年に一過性脳虚血発作または脳卒中(脳出血または脳梗塞)と診断された患者を判別するための集団ベースのレジストリを用いた.片側大脳半球の左右は放射線学的所見と臨床所見を用いて決定した.我々は,連結した行政データを用いて患者がドライバーとして巻き込まれた発症後の重篤な外傷を見つけた.二次評価項目は,患者が歩行者として,あるいは同乗者として巻き込まれた重篤な外傷,または他の外傷イベント(転倒,骨折,足関節捻挫)を含めた.我々は,死亡を競合リスクとして検討した比例ハザードモデルを用いて,片側大脳半球と評価項目の関連性を,年齢・性別・退院時mRSスコア,家の場所,病前の運転歴の調整ありと調整なしで検定した.患者は2017年まで追跡した.
結果−片側大脳半球の脳血管イベントの患者26144人のうち,平均6.4人−年の追跡期間で,ドライバーとして続発する重篤な交通外傷377件(2.2/1000人−年)をみとめた.この割合は左右では差がなかった(調整ハザード比1.00; 95%信頼区間0.82-1.23).歩行者としての重篤な交通外傷のリスクは右側のイベントでは左側のイベントよりも有意に高かった(調整ハザード比1.27; 95%信頼区間1.02-1.58).他の交通外傷のイベント後のリスクは脳血管イベントの左右では差がなかった.
結論−歩行者としての重篤な交通外傷のリスクは右大脳半球イベント後には左側のイベントと比べてかなり高かった.歩行は脳卒中や一過性脳虚血発作の生存者における運動として推奨されるべきだが,このような交通弱者は安全性を最適化するための脳卒中後リハビリテーションから恩恵を受けるかもしれない.