2015年4月5日日曜日

痙性麻痺による膝つっぱり歩行のある成人における大腿直筋の化学的脱神経の効果:脳卒中患者でのメタ解析のレビュー Archi Phys Med Rehab 2014

痙性麻痺による膝つっぱり歩行のある成人における大腿直筋の化学的脱神経の効果:脳卒中患者でのメタ解析のレビュー









抄録
目的:膝つっぱり歩行を呈する痙性麻痺のある成人において,大腿直筋への運動分枝ブロック(motor branch block; MBB)または神経筋ブロック(neuromuscular block; NMB)の歩行遊脚期の運動学や機能的評価,エネルギーコストへの効果を決定すること.
データソース:PubMed,Embase,CINAHL,Cochrane Libraryを検索した.2013年2月26日までの研究を収集した.引用文献一覧をさらに詳しく調べた.
研究の選別:研究デザインには制限を設けなかった.患者は中枢神経疾患のある成人とした.介入はNBBまたはNMBとした.評価項目に歩行遊脚期の膝の運動学的評価が含まれていることを条件とした.研究の選別は2人の検者が別々に実行した.
データ抽出:2人の検者が対象とした研究の方法論的な質を別々に評価した.脳卒中患者における運動学・機能的評価・エネルギーコストのデータを,全患者群から可能な集団であれば抽出した.
データ統合:12の異なる研究を記載した計9編の文献を対象とした.遊脚期の膝の運動学(最大膝屈曲角または膝可動域)は対象としたすべての研究で有意に改善した.最大膝屈曲角の平均の改善幅は1.9°〜15.4°だった.脳卒中患者での最大膝屈曲角の統合データは,NMBで7.37°(P=0.000),MBBで9.35°(P=0.002)の有意な改善を示した.つま先離れ時の膝運動速度の統合データはNMBで53.01°/秒の有意な改善を示した.MBBの研究ではこの改善は有意ではなかった.膝可動域・機能的評価・エネルギーコストの統合データは有意な変化を示さなかった.
結論:このレビューから大腿直筋の化学的脱神経は遊脚期の最大膝屈曲角を有意に改善させることが示された.機能的評価・エネルギーコストへの効果は依然としてはっきりしていない.




 片麻痺のStiff-knee gait(便宜上,膝つっぱり歩行と訳しましたが,正式な用語があったら教えて下さい)に対する大腿直筋へのボツリヌス毒素療法,および大腿神経への神経ブロックのレビューである.
 主要評価項目を膝屈曲角を運学的に評価した研究としているため,レビューの対象となった研究がかなり絞られてしまっているが,結果は膝の屈曲に対しては有効で,その他の評価項目については十分な結論は出なかったというものである.

 ただ,ボツリヌス毒素療法では,経験的に,大腿直筋への施注は行わなくても,下腿三頭筋と後脛骨筋への施注だけで,膝伸展や反張膝が軽減することもよくあり,大腿直筋への施注が必要かどうかの判断はなかなか難しいと感じている.

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